詩人:朱雀 | [投票][編集] |
秋に雨がささらいで 音鳴く声にも似た響き
夜半(よわ)の寝覚めに 色無き風が
情(こころ)恋しと吹き頻る
枯葉(こよう)に くろろが潜り込み
時のしじまで雨隠れ
幾ら待てば晴れるのか
朽葉色した胸のうち
とてもかくても
手裡にあるのは何首烏玉(かしゅうだま)
時は戻しも 伸ばせもできず
夢想の中で揺れ動く
なにやら いよいよ 忍び寄る
蕭殺の気に託(かこつけ)て
吐納(とのう)を宥め振り放(さ)け見れば
雲の切れ間に
覗く紫微垣(しびえん) 碇星(いかりぼし)
沁みる夜気を横豎に見立て
秋にひとり思い戯る