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朱雀の部屋


[29] 秋の口
詩人:朱雀 [投票][編集]

  
秋に雨がささらいで 音鳴く声にも似た響き

夜半(よわ)の寝覚めに 色無き風が

情(こころ)恋しと吹き頻る


枯葉(こよう)に くろろが潜り込み

時のしじまで雨隠れ

幾ら待てば晴れるのか

朽葉色した胸のうち


とてもかくても

手裡にあるのは何首烏玉(かしゅうだま)

時は戻しも 伸ばせもできず

夢想の中で揺れ動く


なにやら いよいよ 忍び寄る  

蕭殺の気に託(かこつけ)て

吐納(とのう)を宥め振り放(さ)け見れば 

雲の切れ間に 

覗く紫微垣(しびえん) 碇星(いかりぼし)


沁みる夜気を横豎に見立て

秋にひとり思い戯る


2008/11/09 (Sun)

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