詩人:朱雀 | [投票][得票][編集] |
散りてなほ 濃き紫の 野牡丹に
風秋なりと 歌ひたれども
※「紫」は野牡丹の花の色と「紫の縁」をかけています。
紫の縁(ゆかり):あるものをいとしく思うために、それに繋がる他のものにも情愛を感じること。転じて何らかの縁で繋がるもの。(草の縁と同意)
通訳:吹く風はもう秋だよと歌っているけれど、散ってなお色鮮やかな野ボタンの紫の花びらを見ていると、その上に遠い昔の夏の思い出が今もまだ輝いているように見える。
一昨日叔父が鬼籍に入りました。
なかなか子供に恵まれなかった叔父夫婦は甥や姪をとても可愛がってくれ、朱雀も大切に愛してもらった記憶しかありません。
子供のころ、夏休みに叔父の家に遊びにゆくと面白いことや珍しいものを沢山見せてもらったり一日中遊んでもらったり、毎日楽しいことばかりであっという間に時間が過ぎてゆきました。
そして帰り際には必ず「もっと泊っていけよぉ〜。」と何度も何度も引き留めるので、最後はいつも母に引きずられるようにして帰ったのをまるで昨日のことのように思い出します。
朱雀は自分が作った詩や短歌をあとで読んでも特別感情的になることはないのですが、本当にただただ幸福な思い出しかない叔父のことを思いながら創ったこの歌が出来た時、初めて泣きました。