ビョウと突き刺す風越しに
ふと 目に止まる時のうねりが
凄凄とした瞑色に身悶え―――
弥立(いよだ)つ躰と裏腹に
凝らした眸に赫(かがよ)う影は
象牙の塔に姿を変えて
『此処へおいで』と甘言を吐く
喜懼(きく)に揺れる心裡を探り
僅かに遅れた足の運びを
其奴が見過ごす筈はなく・・・
『お前はいつもそうだね』と
侮蔑混じりに ただもう一度
ビョウと響動(とよ)もし掻き消える
其の名は闇の詠うたい
識閾(しきいき)に立つ我を哀れみ
ただ気紛れに姿を見せる
いつか わたしはお前のもとに
辿りつく日が来るのだろうか?
2008/10/07 (Tue)