寂寞(じゃくまく)の枢(とぼそ)で
縮こまった躯(むくろ)を抱(いだ)く
哀れなるかな その姿は
卑しき傍生(ぼうしょう)なり
痩せた輪郭を坤輿(こんよ)にさらし
転げた鞄の口から渺然(びょうぜん)と宙が洩れ
惜陰の間もなく やがて辺りを埋め尽くすのは
茫漠たる無窮
広漠たる静寂(しじま)
渺茫たる孤独
喪明の羊飼いは無明の闇をさ迷い
生死長夜の夢に溺るる
疇昔(ちゅうせき)に紛れた風袋から
無常の風は吹き止まず
雲霓(うんげい)の望みは泡影(ほうよう)と成れど
合浦(ごうほ)の玉には成れはせぬ
2008/10/07 (Tue)