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朱雀の部屋


[6] 樊籠
詩人:朱雀 [投票][編集]


寂寞(じゃくまく)の枢(とぼそ)で 

縮こまった躯(むくろ)を抱(いだ)く

哀れなるかな その姿は

卑しき傍生(ぼうしょう)なり


痩せた輪郭を坤輿(こんよ)にさらし

転げた鞄の口から渺然(びょうぜん)と宙が洩れ

惜陰の間もなく やがて辺りを埋め尽くすのは

茫漠たる無窮

広漠たる静寂(しじま)

渺茫たる孤独


喪明の羊飼いは無明の闇をさ迷い

生死長夜の夢に溺るる

疇昔(ちゅうせき)に紛れた風袋から

無常の風は吹き止まず

雲霓(うんげい)の望みは泡影(ほうよう)と成れど

合浦(ごうほ)の玉には成れはせぬ

2008/10/07 (Tue)

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