庭師が指を突き刺した肢体に沈んだ刺を刳り指先で無数の刺が肉に包まれぬらぬら光る私はそれをおもむろに頬張る肉は溶け剥き出しになった刺が内蔵に喰い付いた私の中で吹き出す血潮に比べたらこの庭園に滴った量の何と微々たることよ囲む荊に付着した己が欠片を見下ろして失笑滴る青も滴る赤も闇の前では澱んだ無色別の色で塗り潰せ赤い斑点を着飾るブルーローズ君も私も己が傷を喰らう者それでいい血は私の中でのみ流れればよい
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