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夜深の部屋


[23] しゃぼん玉の勇気
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しゃぼん玉のように
浮かんでは消えかけていく 涙いろの片想い

ため息ひとつ吐くごとに
しゃぼん玉が唇からでてくる

言いたいことがあってもなぜか
泡の固まりばかりがでてくる
口を開くと馬鹿のように
おかしなことばかり言ってさ

それでも 伝えたいな
うたかたに消え入る前にこの気持ちを

朝、目覚めると
空を飛び疲れた私の羽根が
錆びていることに気づく

夜、たくさんの苦しみから
逃げて逃げ回り飛び回る
嘘や不安が竜巻の渦になって
ベッドまで押し寄せてくるから
とりあえず 羽根を拡げて
(無いはずの 翼拡げて)

飛んだりしてみる 跳ねたりしてみる

そして朝からぐったりして
夜はぐっすり眠れなくて 疲れてしまう

しゃぼん玉のように
浮かんでは飛んでいく やさしい色の想い

しゃぼん玉 風に揺れる
とがった銀星に当たって 一瞬で
消える

でも 私のこの気持ちは
しゃぼん玉のように 気まぐれだけど
すぐに消えたりはしない

淡い甘い
記憶の中に いつまでも浸(ひた)ってみたい
小さな世界で 羽根を拡げずに
眠り続けて 傷つかないでいたい

でも朝は来る 朝が来る
すべての始まり すべての希望の
朝が来るから

羽根を拡げなきゃ 窮屈すぎるよ
ずっと 夜に浸って眠って
しあわせすぎても哀しいね

この手に
小さなちっぽけな
昨日よりも世界を たくさん飛び回れるような
勇気がほしい

しゃぼん玉のように すぐ消えたりはしない
永遠だと思えるような
愛や勇気がほしい 
どうせ綺麗ごとだけど 今はとても
愛や勇気がほしかったり、する

2011/06/14 (Tue)

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