詩人:アイカ | [投票][編集] |
あの日黙って
この目を
もぎ取ったら
貴女は
私に分からないように
泣いてくれた
この体は
誰に対しても
迷惑なだけだと
思っていたから
片割れなのではないかと思う
そう言ってくれた
貴女が
綺麗過ぎて
汚すぎる
自分の愚かさが
心底嫌になったよ
気づいた事
ありすぎて
うまく一つに
まとめられない
それでも
拙い言葉を
どうにか伝えたくて
悲しい。に
気づいてくれて
有り難う
私がもぎとった
目の奥に
深く絡まった
黒く細い無数の糸は
全身に伸びて
私を縛り付けたまま
それでもどうにか
動こうと
もがくのは
この声が
届くといいと
目のない顔で
思うから
貴女は変わらず
綺麗な顔で
笑ってくれるかしら
寂しい。に
気づいてくれて
ありがとう
きっと
あの言葉がなければ
あのまま私
消えていたと思う
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ラジオを消したら
世界まで消えそうだ
つけっぱなし
君はいいよね
私にもそれが欲しい
欲しがりっぱなし
最高の朝は
いつのまにか
来なくなったんだ
これが大人と
言う事の一部だろうか
だとしたら最悪だな
なにもかも
つけっぱなしで
なにもかも
ほしがりっぱなしで
左手の傷は
欠落した物の象徴
消さなくていい
ラジオが欲しい
電池のなくならない
ウォークマンが欲しい
割れないお皿が
欲しい
割れないシャボン玉が欲しい
離れていかない
その声が欲しい
離れていかない
君が欲しい
欲しがりっぱなし
………………ぱなし。
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満する月
カケラと共に
乾杯をします
見慣れた街を
旅立つ君へ
昨日言った
4度目の
愛してる。は
実は
愛してた。でしょ
分かってるよ
その口が
優しいことしか
言えない事くらい
分かってるよ
無理して奴に
なろうとした事くらい
君は去るのではなく
旅立つのさ
別れの言葉は
似合わないから
言わないよ
君は一番大切
二番目だけどね
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黄色い傘が
二つに折られて
捨てられていました
雨上がりの夕空
黄色い傘は
どうしようもなく
汚れてしまって
いたけれど
水滴が
夕日に照らされて
酷く綺麗でした
いつまでたっても
答えを出さない空に
背を向けました
この世に
絶対はないと
知りました
いつまでたっても
私を映さない
水面から
目を背けました
この世から
愛は消えたと
知りました
黄色い傘は
悲しい程綺麗でした
私に何か話しかける
様でした
雨上がりの夕空の下
黄色い傘のお話
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どうでもいい
どうでもいい
もう
空気なぞ要らん
光なぞも要らん
無がいいね
何もないのが
好ましい
疲れた
疲れちった
明日のこの時間
私の体は
どうなってるかしら
どうでもいい
どうでもいい
消えてしまおうか
それが一番楽だ
消えてしまえばいい
プライドも
希望も
貴方の
おノロケ話も
腹がたつ
心底ね
私がここに居た
という事実でさえ
全部綺麗に
消えちゃったならば
どれほど
どれほど
いいだろう……
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私のナカミは
50%PUNK
30%ROCK
20%ROLL
蛍光灯に
漂白されて
汚れやすくなった
明日の未来の
ずっと先
水深5センチで
溺れてる私
誰とも目を
合わせずに
鞄で壁を立ち上げて
机に突っ伏して
本も開かずにいた
色素の薄い皮膚
ただれてるのは
青い風船の
内側から見たような
景色と
まん丸い空に
焦がされたから
ご飯は菓子パン
積み立ては
春ガネ
何が必要で
何が不必要か
誰か示して
感情は排除
肉体は排除
周りに集まるもの
全て排除
誰か助けて
そして速やかに
えんぴつを尖らせて
左手に突き刺して
大声で笑った
この世界は
50%PUNK
30%ROCK
20%ROLL
これが
パーセンテージ
最強の振り分けさ
苦めに笑え
地面を叩け
登る前に
まず下れ
両足を固定して
水深5センチで
溺れそうな
朝を待とう
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奴が
この人ゴミの中に
居るわけがない
全てあきらめた
今は他人に
とくに心配なんて
とくに期待なんて
とくに熱望なんて
していない
他人はアタシを
食べるだけ食べて
最後に一人一発
カナヅチで叩いてく
アザは自分で
作るもんだよ。
アタシが
その気になれば
幸せは寄ってくる。
そうらしいわよ?
今までその気も
なかったと
言いた気だわね
誰よりも強く
望んでいたのに
誰かさんが
最後の希望を
カナヅチで
叩き壊して
行っちゃった
信じたアタシが
馬鹿だ。とでも
言いた気だわね?
そう信じた
大人の言うことは
信じたらいけないと
知っていたのに
あの時、まだ
すべてがそうだと
認めたくは
なかったってだけさ
再確認を
有り難う
教えてくれて
有り難う
信じられるのは
自のみだと
信じられるのは
者ではなく
物であると
自分以外に
心配するのは
期待するのは
辞めました
どうせ全て
同じなのですから
幸せを
熱望するのは
お願いするのは
辞めました
アタシには叶わないと
やっと
気づきましたので
いくらアタシでも
18年も
叩かれ続けたら
守る術を学習しますよ
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行く宛もなくて
一人煙草をふかして
虚ろに
夜の街を見てた
遠くから
ドラムロールが
聞こえるけど
踊り狂うには
酸素が
あまりにも
足りなすぎる
俺と話したい?
唐突に
そう聞いてきた
野郎が居た
別に
そう答えたら
汚い歯で
苦そうに笑った
その髪の毛は
どうなってるのさ?
その眉毛は?
アンタは
何処からきたの?
聞いてみたかった
まあ口から出すのは
辞めたけど
目と目が合って
トイレの中
無言で繋がるまで
そう時間は
いらなかった
愛がない
そんな行為なら
何度でも
この体は
できるだけ早めに
壊したいから
夢のない
そんな話なら
いくらでも
この頭を
できるだけ早めに
溶かしたいから
どうせ
最後は一人で
死ぬのですから
それが
遅くても早くても
いいんじゃないの
そんな事思う
今日この頃
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南を目指せばいい
島へお帰りなさい
がじゅまるの樹の下
キジムナが
サンシンを弾いて
悲しい目で
笑ながら
こっちを見てる
青い目に
血塗られてもなお
笑い続ける
人々が居る
マレビトは南から
島々に散った
そして楽園は
存在する
物語へと変わった
南を目指せばいい
島へお帰りなさい
おいで
おいでと
手を振りながら
私を海へと…
南を目指せばいい
島へお帰りなさい
そこには
全てがあって
そこには
全てが存在しない
マレビトの詩
悲しく綺麗で
目玉をくり貫く
本物が何処に
あるのか
君は忘れて
しまったの?
そこには
全てがあって
そこには
全てが存在しない
南を目指せばいい
島へお帰りなさい
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あの家に
住んでた頃を
夕方起きて
急に思い出したわ
その頃パパは
学校の先生で
お休みの日は
真っ白な壁を
さらに真っ白に
塗ってた
玄関は吹き抜けで
ママはそこから
私を呼ぶの
お庭から
田ぼが見えて
お家の前には
大きな川が流れてた
二階から
しゃぼん玉を
飛ばして
いつも一人で
遊んでた
いつか掴めると
信じてた
必死に
握ろうとしても
シャボン玉は
ただのお水になる
手についたお水は
苦い味がした
最初にママを
殴ったのはパパ
目の前で見てたもの
ママは
いつの間にか消えた
パパもすぐに消えた
お家の中に
知らない人が来て
私とお兄ちゃんを
公園付きの
新しいお家へ
連れてった
人は沢山居たけれど
楽しくなんて
なかったよ
ご飯はいらない
おもちゃもいらない
パパが欲しいし
ママも欲しい
金網の内側
口紅色の空
ティディベアを
抱いて
一人で見てた
この道の先から
ママとパパがくる
だから一番に
お迎えしないとね
一番に頭を撫でて
もらわないとね
あの家は
まだあるのかしら
きっと汚く
なってるわね
14年も
昔のこと
あの家に
住んでた
頃のこと