詩人:白茹たま | [投票][編集] |
初めは見つめるだけで良かったのに
声聞くだけで良かったのに
喋れないと寂しいとか
2日会えなかっただけで
久しく感じたりとか
どんどん欲張りになっていく
そんな自分が怖い
詩人:白茹たま | [投票][編集] |
この世界の主人公が
私だったなんて
耳を塞ぎたくなるような現実を
楽しんでいる私がいることに
ようやく気づいた
思えば
私は非日常に入り浸り過ぎた
遊び盛りな学生でもなけりゃ
落ちこぼれた会社員でもない
日常をただだらだらと生きるものでもなけりゃ
今にも飢え死にそうな乞食でもない
何をしようと私は主人公なんだろう
私なんて
どこにでもいるような
普通の少女に生まれたかった
"地球にいる人間"の一部として
人数に加算されるだけで良かった
それなのに どうして
私は主人公になってしまったのだろう
非日常に足を踏み入れたあの時から
私は主人公として生きることになってしまった
この世界の主人公は 他でもない私
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この世界の主人公が
僕なんじゃないかって
時々思いたくなるけど
そんなのは違ったんだって
ようやく気づいた
思えば
僕は何もしていないじゃないか
世界を救うヒーローでもなけりゃ
世界征服を狙う悪の組織でもない
非日常を生きるものでもなけりゃ
金持ちの坊ちゃんでもない
脇役なんて呼ばれればいいとこだろう
僕なんて
せいぜいエキストラだろう
下手したら画面にも移らない
"地球にいる人間"の一部として
人数に加算されるだけかもしれない
それなのに どうして
僕は自分を主人公だと思えたのだろう
無邪気だったあの頃のぼくは
残酷な現実に気づけなかった
この世界の主人公は 僕じゃない
詩人:白茹たま | [投票][編集] |
僕がもっと 優しい奴だったら
君は僕の手を取ってくれた?
僕がもっと 素直な奴だったら
君は僕を振り返ってくれた?
君に伸ばした右手
冷たいままだった
泣きたくなるくらい綺麗な夕陽から顔を背けた
涼しい風が吹いて
君の足音を攫って行った
詩人:白茹たま | [投票][編集] |
3のボタンを3回
2のボタンを2回
それだけで完成する短い言葉
携帯に滑らせた指先
紡ぐことができない33322
届けない 届かない
私の指先は震えていた
33322
33322
33322
心の中でなら何度だって打ち込める
それなのに
この指先は動かない
たった二文字を紡ぐことさえ
今の私にはできないの
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雨に融けるように
消えていきたかったの
あなたが私を思って
突き放してくれたの
分かってたのに
私は勝手に傷ついたの
本当はあなたを忘れた日はないのに
"届かないから"って決めつけて
あなたを忘れたフリをした
私を好きだと愛してると
そう言ってくれた人
私はその手を取ったの
あなたの記憶を掻き消したくて
雨がアスファルトを叩いて
薬品のにおい 染み付いた
その真っ白なベッドには誰もいない
このまま雨に融けてしまえば
私はどれだけ楽かしら
私も恋人も そしてあなたも
幸せになれるわ きっと
薄れゆく意識
今、私は雨に融けるのね
薬品のにおい 染み付いた
その真っ白なベッドには誰もいない
騒ぎ立てる患者
走りまわる看護婦
雨に融ける私を
荒々しく抱きしめたのは
私が愛した あなた
"行くなよ"
溶けてしまいそうだった
そのまま
あなたに溶けてしまいたかった
このままでいたい
そうすればきっと私は
あなたに 雨に 溶けて消えられる
私に残された時間はもう短い
あなたの腕のなかで
融けるように消えさせて
だから
雨よどうか止まないで