詩人:ヒギシ | [投票][編集] |
シャボン玉を飛ばそうとして
間違って吸い込んだのさ
久々にコーラを買ってみて
間違って振ってしまったのさ
間違えてばかりなんだ
それでも笑えるんだ
それって凄く
素敵だろう?
餌をやろうとしたんだけど
間違って口に運んだよ
家に帰ろうとしたんだけど
間違って魚屋に着いたよ
失敗することが多いのさ
でも同じ失敗はしたことがない
それって凄く
素敵じゃない?
ぁあ
間違って塩を入れた
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高く
叫んでください
ときには
弱々しくとも
よろしいので
私の名前を
呼んでください
きっと蝶が
きっと鳥が
もしかすると月ですら
味方になって
貴女の声を
届けて下さいますから
きっときっと
私の名前を
呼んでくださる事
誓ってください
貴女の元へ
急ぎますから
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季節の楽しみ方を
心得ている人だったね
さり気なく
風鈴買ってきたり
器に水はって蝋燭浮かべたり
枕が竹になってたり
洗面所には花が添えてあったり
素麺の氷をカランと鳴らしたり
耐熱性ガラスでお茶飲んだり
スリッパがい草になってたり
金魚鉢置いたり
のれんがかかってたり
寝間着が浴衣になってたり
…
どうしようもない僕の部屋は
君が去った夏から
ずっと季節が変わらない
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言いようのない感情を
どう唄えば良いか
分からずに
赤くなって山の向こう
遠くへ落ちる月を見た
心の中で
言葉にならない声達が
散々喚き散らして
叫んで叫んで
良心バッタの小さな声は
暫く聞こえそうにない
今日が背中をぐいぐい押して
明日が腕を引っ張って
昨日がこっちを眺めてる
彼らに身をゆだねて
時が駆け足で去ってくのを
震えて待った
猫の唸り声が響く暗闇
月ですら照らすのを諦め
星達はどこかへ行ってしまった
懐中電灯で照らしても
私はどこにも見えてこない
明日
太陽が
凍えた私を見つけ出し
氷を溶かしてくれますように
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お節介な第三者が
ずかずかと入り込んできて
適当に都合の良い話をして
無理矢理にでもまた
くっつけてくれれば良いと
悲しくも考えてしまった
上辺だけでも良いから
横に戻ってなんて
馬鹿らしい思いが
心の奥の奥の隅っちょに
僅かでも確かにあるのが
許せないんだ
自分の一番好きな人間が
自分で良かった
そのお陰で
何とかやってけそうだよ
理想が叶いそうなんだ
浅い関係だけで
好き勝手気ままに
それが出来そうだ
唯一邪魔をしていた
どうしても深入りしてしまう
そんな貴女を
きれいさっぱり失った
もう
これで良いよ
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久々の晴天にウカれ
ほこほこと干した布団の上
月光を浴び
弱々しい光合成をしながら
思慮に更けるのだよ
百合の紋章があるだろう
言い切ってしまわれては
確かに百合に見えるのだが
実際ぱっと見
到底百合には見えんのだ
信号の赤青黄
あれは果たして青なのか
正直なところ
緑だろう?
蝉がひっくりかえっている
死んでいるのか生きているのか
いきなり動いて
おどろかされる
マネとモネは
どうも混同してしまう
ややこしい
そらとぶ絨毯
らんぷの精
はてさて
君はだれだ
にんげんて何
ひつじが
さくを
とびこえるのは
…かのうなのか?
……
…
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簾が畳に映す
水面のような揺れる影
うたた寝から目を覚ますと
僕はそこに浮かんでいた
チリリ…ンと風の鈴
少し汗をかきながら
涼しげな夢を見ていた
逃げるように記憶から去った
その夢の残り香だけが
一緒に水面に浮いていた
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何処まで歩いても
ビルの隙間
足が痛くなっても
建物の影
自分の場所は
一体どこに
バカおっしゃい
太陽が照らす
真っ昼間
トーキョータワーに
登っても
見えるは大都会トーキョー
月も照らせない夜中
上を向きなさい
気が遠くなるほど
遠く遠くまで
見渡せるでしょう
NASAも届かない
大・宇宙
何億年ものドラマの上
存在しているその命
ちっさな星で
ちっさな街で
居場所なんか
要らないでしょう
この宇宙が
居場所でしょう
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何処にいるかも分からない
何とかっていう鳥の囀り
何の役目を果たしているのか
謎の機械音
三時を指そうとする時計の針
集う人間達は
少し呑気
田舎町の
駅のホーム
あと
どれだけ待つのだろう
都会行き列車
さっきからもう何分も
自販機の前
商品を眺めている
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小型のMDプレイヤー
パジャマのポッケに忍ばせて
大音量の洋楽ラップ
内容が頭に入ってこないから
丁度良いのさ
これで僕は無敵になる
奴等の言い合いも
うるさい小言も
自分の鼓動も
何も聞こえやしないのさ
ただ指を微かに動かして
コトコトリズムをとるだけさ
重低音の心地よさ
これはアンテナがキャッチする
あの雑音に似ている
宇宙が生まれた歪みの音さ
脳に流れ込む心地よさ
コトコトと
リズムを刻むのさ
目ェ瞑って
異国の言葉を聴き続ける
耳塞いで
誰の言葉も聞きやしない
僕は無敵さ
誰とも戦っていないのだから