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ヒギシの部屋


[170] 鉄屑の町
詩人:ヒギシ [投票][編集]

小さな子供が 鉄屑を
磁石ですくい上げて 遊ぶ
小高い丘の そんな町

冒険気分で 坂を上った
住み慣れた街が 見渡せて
空に一歩 近づく毎に
甘い飴玉 噛み砕く

ジョークだよって 言う君の
真剣な顔が 可笑しくって
吹き出した僕に 君は満足

白壁の 家の隙間
ハイビスカスの 垂れ下がる
明るい階段を 上って
広がる空の 青さに期待

鉄屑漁に 勤しむ子供を
横目で見ながら 頂上目指す
君の背中を 追い掛ける

曲がりくねった 急な坂道
駆け足になる 僕らの足
最後にあのアーチ 抜けたら
そこには きっと


カーテンの 隙間から
太陽光線が 容赦なく差し込む
目覚めの 珈琲なんかより
毛布に潜って 余韻と遊びたい

鉄屑を 磁石ですくい上げた
大きな大きな 鉄工場
今 私は丘の上
白壁の町に 住み着いて

2004/11/13 (Sat)

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