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ヒギシの部屋


[206] ヒトデ
詩人:ヒギシ [投票][編集]

生温い空気のなかで
爪を失くした指先が
君の足首をくすぐった

飛び跳ねて見下ろせば
透けた波が引いてゆく
小さな砂粒を掬って
佇む海へと無言で帰る

ああ君よ色眼鏡を外しなよ
似合わないってナンセンス

宿借りの鋭い足が
ずっと忙しく突ついてる
その綺麗な背中の貝も
今の君では気付けない

生温い空気のなかで
もうすぐ止まない雨が降る
紫陽花の色も知らない君は
きっとまた出会うんだろう

見下ろした足首に
這いすがる人の手と

2006/06/13 (Tue)

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