生温い空気のなかで爪を失くした指先が君の足首をくすぐった飛び跳ねて見下ろせば透けた波が引いてゆく小さな砂粒を掬って佇む海へと無言で帰るああ君よ色眼鏡を外しなよ似合わないってナンセンス宿借りの鋭い足がずっと忙しく突ついてるその綺麗な背中の貝も今の君では気付けない生温い空気のなかでもうすぐ止まない雨が降る紫陽花の色も知らない君はきっとまた出会うんだろう見下ろした足首に這いすがる人の手と
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