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獏の部屋


[31] 雪虫
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十月の日差しは柔らかで
臆病な小さな魂も
樹皮の覆いからおずおずと顔を覗かせる
もういいよ
もういいよ
ゆったりと流れる風
透明な小さな羽が
精一杯羽ばたいて
凍る季節を呼んでいる
つかの間の柔らかさ
卵を抱くのはもうすぐ
銀色に光る水面から
虹色の蒸気が揺らぐ
あたたかいね
あたたかいね
幽かに聞こえる歓喜の声
消えてしまうことなど
忘れている
儚いことなど
知らなくていい
知らなくていい

2005/10/26 (Wed)

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