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獏の部屋


[32] the starry sky.
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寒い風が
鼻先を氷のように冷やして
丸めた背中ごと
包み込むように巻き上げて
凍り付いた思考と
縮こまる身体を
軽々持ち上げて星の瞬く空へ
夜の空気と同じだけ
下がった体温は
冬に溶ける絶対条件
張りつめた夜の冷気に
揺れる星達の一つになって
次第に透けていく身体
凍り付くような冷気こそが
すべて透明に夜空に同化させる
星になって見下ろす
無機質な街頭の列の下を
とぼとぼ
はぐれた一匹の犬が所在無さげに歩いている
そこにぬくもりは残っているか
心の芯まで冷たくなった
透ける瞳は
懐かしむように
流れる雲になって見つめている

2005/11/19 (Sat)

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