無くしてしまった記憶雲天の灰色の景色に産まれたての白い鳥のハカナイ産毛みたいに小さくちぎれた雪が舞うゆっくり無軌道の軌跡を描いて舞い降りて少しだけ白く光ってはアスファルトに家々の屋根にまだ裸の木々に触れて 溶けてたくさん抱えてた悲しい言葉達を吸い込んで流れていったやわらかなやさしい涙になってひらひら途切れる事無く舞って降り続いて記憶も降っては溶けて頭の芯の痛みだけ残して消えていった名残雪
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