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獏の部屋


[35] 名残雪
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無くしてしまった
記憶
雲天の灰色の景色に
産まれたての白い鳥の
ハカナイ産毛みたいに
小さく
ちぎれた
雪が舞う
ゆっくり無軌道の
軌跡を描いて
舞い降りて
少しだけ白く光っては
アスファルトに
家々の屋根に
まだ裸の木々に
触れて 溶けて
たくさん抱えてた
悲しい言葉達を
吸い込んで
流れていった
やわらかな
やさしい
涙になって
ひらひら
途切れる事無く
舞って降り続いて
記憶も降っては溶けて
頭の芯の痛みだけ
残して
消えていった
名残雪

2006/03/01 (Wed)

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