詩人:夕凪 | [投票][編集] |
小さい頃私は
身体が弱く
酷く痩せ細っていた
二歳の時には
原因不明の中毒を起こし
意識不明で病院に
運ばれた
母は寝る事もせず
私に付き添った末
三日目に疲労で倒れた
一週間後ようやく
意識を取り戻した時には
母は安心して
泣き崩れたという ‥
小さな身体に
無数に刺された
太い点滴の針
今もいくつか残る
その跡が
当時の名残なのだろう
小学生の頃は
貧血で倒れてばかりの
日々だった
低学年の頃は
走ることが大好きで
夏休みには毎朝
親友と共に
少し離れた神社まで
走りに行った
帰り道で案の定
貧血を起こし
その度に親友が
母を呼びに行き
私は抱えられて帰った
母は本来
とても心配性だが
私がしたい事は
何故か止めなかった
高学年になると
音楽に目覚め
音楽クラブに入り
放送委員にもなった
中学校に上がると
ピアノを習いながら
バスケ部の練習に
明け暮れていた
その頃には
貧血はほとんどなくなり
私は思うままに
走れる様になっていた
低血圧の為
早朝練習はよく休んだが
放課後は目一杯頑張り
レギュラーにもなれた
高校生になると
私はすっかりと
音楽に夢中になった
アルバイトをしながら
音楽仲間を見付け
好きな音楽に
存分に没頭した
母はそんな私を見て
いつも嬉しそうだった
身体はもう
心配しなくても良くなり
充実した
学生生活だった ─‥
今、思うと
私の後ろにはいつも
母の存在があって
どんな時も
強く支えてくれた
他の子達と同じ様に
成長出来たのは
母の深い愛情の
お陰だと
心から感謝している
母が惜しみなく
与えてくれたものは
これからも
私を支え成長させて
くれるのだろう
そして今度は
他の誰とも違う
私だけの幸せの形を
教えてくれるのだろうと
そう感じている ─‥。