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番犬の部屋


[23] 退廃的呟き (3)
詩人:番犬 [投票][編集]

アンダーグラウンドでも通用するクラシック、未来永劫残るであろうアカシックレコードの出来上がりだ
神に感謝したいところだが、それはメソポタミアやインダスの方へ意識がジャンプした瞬間に思いとどまった
インドのペテン師が最下層の民を神の子と名付け、彼らの汗の結晶をかすめ取り、一部のバラモンとクシャトリアに公共収益の貢ぎ物を捧げる今夜にも、神の子らは近付く冬の足音に怯え、税金徴収の官吏に媚びて、僅かの蓄えを数える指にはまる指輪は無く、生まれたての赤ん坊は親には愛されるが神からは愛されずうなだれる
ジャラジャラの宝石で身を飾った寺院の責任者は、愛すべき神の子らを拒絶しては稼ぎの安定への祈りとコネの繋ぎに時間を費やす
貧しいパンの売り買いで食いつなぐ親子家族の泥沼は変わらず、終わらず、昨日も今日も宿命の一部だった
脳細胞の分裂が収拾つかなくなった内出血の暴走でぬかるんだ精神の道を歩くんだ、俺って奴は
たぶん最も遠い所の絶望の足跡が見えたあの日から、光より先に暗闇の汚さに目を配るようになった
樹木の根の質感と時を重ねた人の肌の質感を比べたり、市街地に倒れた猫の死骸にたかる蠅や蛆の生命力を見つめたり、冷戦後も西側と東側の終わらない闘争や陽炎に想いを馳せたり、アフタヌーンのけだるさですべてを投げ出したり
そうだ
明け方に見た風景を考察してみた
それは高い高い雲までもう少しの距離にいた気球が墜落したのを見たのは脳内での話で、社会の現実はそれを認めないが、俺の記憶は現実だと認識している対比のズレの問題だ
価値観って奴が邪魔をするのは新たな覚醒への次の一手、禁じ手の開放とタブーの破壊だった


続く

2006/11/12 (Sun)

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