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番犬の部屋


[24] 退廃的呟き (4)
詩人:番犬 [投票][編集]

真昼の三日月は深みを欲しがった、清らかな水の流れをどぶ川に見いだした
空き缶や割れた瓶の破片で埋まる路上の悲しみや寂しさ
或いは豊かなホームレスでさえ抱く種類の絶望を、ある意味で唯一人間に許された救いとして

地球は今日も朝を終えたが、終えたのはおそらく我らが日本上空や文明だけの話で、経度が15度違えば、そこの朝もまた15度の違いで訪れ、それは昼も夜も同じ事
神は今頃、下僕に命じて質量の無い羽根と、身に覚えの無い罪を天秤にかけて、あの人は罪か、善良かを選別してるだろう
イギリスの北アイルランドでよく見かけた風景に厳格なパブリックの香りを嗅ぎ当てた
パブロック全盛の田舎町で繰り広げられたパーティーの、役所や学校やカトリックの教えなどは無関係で、無関心で、ダンスで感じて、反比例するように泣き声ばかりが地上を埋めて、イギリス上流階級への経済攻撃は身を潜めた代わりの無差別テロで家を破壊された老婆の涙は地球のアクセサリーだった
そんな時間も今では終わって、史上の暗い夜の日曜日が終わって、束の間の平安をあの国は手に入れたが、中東の戦禍に手を貸した現実は今も続いてる
フランスの核実験への紛糾は途絶えたが、ノースコリアの核と連動して、在日コリアンへの激しい痛みが、まったりとしたゆっくりな流れで血液として、民族的血液型を差別して、あらゆる侮辱の言葉を羅列して覚えた恍惚感は麻薬のになった
キラキラ輝く世界を汚され、薄められ、クズ呼ばわりされた子ども達は精神を冒され、人権の意味や解放や捕囚である事への恨みや、バビロンの手口を知識として取り込み、陰部を切り落とされた犬のように、尻尾を振り、媚びを売り、誇りも尽きて、信用できない安保理に正義を預けるようになった


続く

2006/11/12 (Sun)

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