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番犬の部屋


[53] 無題
詩人:番犬 [投票][得票][編集]


年老いた夫婦が

温かいミルクを飲み干す頃

我が隣人が恋人と

愛の言葉を紡ぐ頃

我が師が生徒に

有り難い説教を述べる頃

裕福な家庭の子供が

やりかけのゲームをリセットする頃

遠くの弱者が死ぬ様を

痩せた大地で死ぬ様を

ブラウン管の外側

国境線の外側から

差別や体制

クーデターやテロル

自動小銃とサーベル

餓えと貧困を

俺はただ静かに

何も言わず

じっと眺めていた

ちっぽけな

ちっぽけな

ちっぽけな

あまりにちっぽけな俺が

ぽつんとそこに立ち尽くしていた

言葉が無力だった

俺はペンを置きたくなった

2006/12/28 (Thu)

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