詩人:秋庭 朔 | [投票][編集] |
たとえば
ぼくが一歩退く。
そして
きみもあなたも
みんなが
同じように
一歩だけ後ろへ下がる。
それは
我慢や忍耐ではなく
心が歩み寄る距離。
本当の自由は
ぼくの中心から
離れるほど
よく見えてくる。
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みんな
裸でお風呂に
入るのに
裸で外に出ると
変態と騒がれる。
心を裸にしたら
素直だと褒める人も
品がないと責める人も
いた。
ケモノとヒトの狭間を
行ったり来たり。
本能ばかりと
煩悩ばかり。
かけるハカリは
両天秤。
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いささか
腕に覚えあり
間合いを計りながら
駆け引きの明け暮れ
肉を切らせて
骨を絶つ
先手必勝
間髪入れず
切り込んだ…
つもりが
電光石火の早業で
居合い抜き
魂抜かれてゾッコン
レンアイは相討ち
勝ち負けじゃない
とか負け惜しんで
もう頭が上がらない
経験値やテクより
生まれながらの
オンナのカンと母性
参りました
どこか行ったの?
いや、だから…
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横に並んで
手足拡げて寝てた
XX
ふたりいつも一緒
記憶にないけど
ある日片足がもげて
あたしがぼくになった
XY
ぼくはきみの
成り損ない
勝てっこない
ぼくらは
きみたちに
だから
手を繋いで
ひとつになった
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コホンコホンと
咳をする
まるで人間みたいと
きみが笑う
オハヨウは
ぼくが教えた
ダイスキと
きみが吹き込む
嘴で羽根を繕って
コホンコホンと
咳をする
おまえはまだ
覚えているんだろうか
その声の彼女を
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人間関係は
良くも悪くも
誤解の上に
構築される
階段を
駆け上がって
出合いがしらに衝突
慌てて伸ばした手に
きみの胸が
ムギュとやらかい
偶発的な事故なのに
必然を確信させる
胸のトキメキ
心拍数の上昇は
単なる運動効果に
過ぎないのに
自律神経は
因果関係を誤認する
アドレナリンは
あなどれない
きみが好きだ
なんて言っても
もう信じてくれない
途方に暮れる
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ずっと前から
その花の名前は
知っていた
だけど
毎日のようにその傍を
通り過ぎていながら
緩やかな坂の街路上に
華奢な枝を
幾重にも空へと向けて
静かに佇んでいる木が
それだとは一年前まで
知らなかった
窓に映る外の景色を
ぼんやり眺めていた
黙ってるとコワい
と言うから
ダジャレ連発すると
無理しなくていい
と不満顔
中くらいってのを
知らないんだ
してもいいかな?
チュウくらい
うん、いいよ?
エッ!ここで?
自分が言い出したくせに
…なにか食べる?
あ、話そらした
あたしカルボナーラ
じゃ、俺…
チキンカレーにすれば?
イヤミか?
今日やけに僕に
からむよね?
スパゲティだけにね(笑
窓の外の
白いハナミズキの花達が
風を含んで笑って見えた
少し和んだ昼下がり
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ガラス窓に
コツンと当たる
音がした
死んでいると思って
拾い上げて見ると
目を閉じて
小刻みに震えてる
哀しいと寂しいが
違うものに変わる前に
傷が治ったら
空へお帰り
恋は内に囲いたがり
愛が外に放ちたがる
詩人:秋庭 朔 | [投票][編集] |
細胞は
刻一刻と死に続け
刹那刹那に新しく
生まれ変わってゆくのに
自我だけが頑固に
しがみ付きたがる
激しい雷鳴も
重く淀んだ暗雲も
何時までもそこに
留まってはいない
目を閉じて
静かに呼吸すれば
ぼくはいつでも
澄み切った空になれる
変えられない現実も
自分が変わるだけで
晴れ間が見えてくる
詩人:秋庭 朔 | [投票][編集] |
ごめん
てったら
たぶん
え、なんで?
ってきみは応える
なぁーんだ
気にしてなかったんだ
さっきまでしてた
心配と反省ぼくに返せ
軽くなって
浮きたった
ぼくの気持ちは
ほんとは
重くなって
沈んだきみの
思いやりのおかげ
ごめんね
一言多いくせに
いつも一言足りない