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秋庭 朔の部屋


[75] 卒業
詩人:秋庭 朔 [投票][編集]


「学校また行けば?」

「実はそんな話も
あるんだ…」

エントランスに
アーチのある白亜の校舎

ネットの画像で見る限り
自分も入学したくなる
くらい立派な学校

彼女は再出発の場所を
自分で探し出し掴んだ


「何故か番号あったよ」
素っ気ない
言葉の行間から
押さえ切れない喜びが
溢れてた
「やったー!
やりやがった」
不安を潜り抜けた
嬉しさで、ぼくも思わず
叫んだ

合格おめでとう!



あれから4年
彼女の友だちは
今年3月卒業式を迎えた

彼女は
その場にいなかった
もうこの世にもいない

あの時
長いと感じた未来が
呆気ない程に短い過去
として脳裏を去来する

瞬く間に
流星のように輝きながら
翔け抜けていった
その光の緒は
煌めきを放ったままで
ぼくらの心の宇宙に
刻み付けられた
永久に変わらぬ姿で

2008/03/06 (Thu)

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