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秋庭 朔の部屋


[84] 元気ですかーっ!?
詩人:秋庭 朔 [投票][編集]


「早くしてよっ!」
とコンビニのトイレから
中年女の激しい罵声。
中から出て来たのは
お婆さん。
トゲトゲしい
叱責と態度に
ケバケバしく
こっちの胸が波立つ。

小さくなった
お婆さんの前に
座り込んで尋ねた。

このヒト、
お婆さんの実の娘?
それともお嫁さん?

…娘です。

そうですか…
と言って立上がり
オバサンの目を見る。

アンタね、
この人のおっぱい飲んで
育ったんじゃないの?
夜泣きしてる時は
あやしてもらい、
病気になれば寝ずの看病
毎日ご飯食べさせて貰い
学校行かせてくれて
それで
今ここにこうして
いられるんでしょう?
これがその報いですか?

そんな事、
あんたには
関係ないでしょう!
他人にそんな事
言われる筋合いはない!
行くよっ!

オバサンは
お婆さんの袖を掴み、
吐き捨てるように言って
去って行った。

コンビニのガラス越しに
オバサンが
車の助手席のお婆さんを
二三度叩いているのが
見えた。
シートベルトをするのに
手間取った罰らしい。


「お母さんの
手もお腹も
柔らかくて
ベッドみたい」

そんな意味の詩を書いた
9歳の子供を
母親が電気コードで
締め殺した。


学校や職場、
駅のフォームや
タクシーの中、
今や家庭内でさえ
息が抜けない社会で、
ぼくらはどう生きてけば
いいんだろう。



母親の声が
無性に聞きたくなった。

久しぶりに
電話してみよう。

かあちゃん
元気してる?

2008/04/04 (Fri)

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