詩人:リコ | [投票][編集] |
よくある話
よくある話
この枠の中
突っ込んじまえば
怖い話も
よくある話
くだらないのは
あんたじゃ無くて
背中に取り付けられた
目玉達だ
過去巡礼
ギョロギョロ
ギョロギョロ
何になる
生きていくのに
時間をかけず
何をかける
消していくのに
時間をかけずに
何を
憎しみを
せこせこせこせこ
かけ算し続けると
言うのかい
目を瞑ったら
そりゃ
画面は黒いだろう
あんたは人間だ
モグラじゃ無い
あんたは人間だ
モグラじゃ無い
あんたは人間だ
モグラ…
自室で
吹き込んだ
カセットテープ
羞恥にかられ
ブチっと止める
from自分
断言教祖めいた
スピーチ
to 自分
救われたくて
ただ救われたくて
アホか
と
一人突っ込み
かましてみて
自嘲の果てに
泣き疲れて
ねんねする
モグったふとん
瞑った視界が
黒くても
怖くは無いのは
カセットの中の
変な女のおかげなのかしら
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虚無を噛み砕く様に
揚げ煎餅を
バリっと一つ
砕けた甘辛い粒が
上の歯へ
下の歯へ
それぞれ
張り付き
口を開けば
ハイサヨナラ
口を閉じれば
ハイコンニチワ
脂っこい粒と粒
ガチガチガチガチ
おまえとあたしみたいだな
今
とっさに
浮んできたんだ
今日は特に
灰色だったから
全てをおまえのせいにする
絶好の日和だった
こんな具合の
こんな感じ
頼りない
記号達が
ひゅんひゅん
ひゅんひゅん
戯れ合って
普遍とは真逆の
とてつも無く
人間らしい
この崩れやすい
感情の記号化供を
言葉に返してやる方法を知る事が出来るのは
学ですか
その場所は
エゴですか
その心は
いや
もう何も言うまいよ
あたしは粒だ
甘辛い
小さな粒だ
虫歯に詰まった
甘辛い石
これは
おまえだろうか
あたしだろうか
それとも
ただの
煎餅のカケラだろうか
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肉に施す
スパイス達
体裁様と世間様
塩気など
はなから無い事
気付いていた
だから
後生大事
これみよがし
シャブリ続ける気は
もう無いわ
鼻を抉るほど
ツンとした
絶望的なまでの
“世界の臭い”
味の無い肉に
施すスパイス
これだけあれば
十分過ぎるほどね
マゾヒストな肉の塊
叩かれれて
叩かれれて
染み渡る
野蛮なその味に
歓喜を震わす
あたしは
人で
人でありたい
他人様の
小さな黒目が
あたしを
大きく見ようと
小さく見ようと
つまらなすぎる
どうでもいい事
日本特有
整理現象
綺麗に片付けられた
魂なんて
その日から
呼び名は
魂では無くなるわ
番号さえ
あれば十分
あたしは
番号にはなりたくない
あたしは
いつだって
いつだって
がんじがらめの
島国で
崇高なまでに
阿呆な方へ
いいえ
人として
生きていく
息絶えるまで
染みても染みても
満足しない
完成しない
あたしは
味の無い
ただの肉で
あり続けたい
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水溜まり
駆け足もつれ
ズルッと
滑って
泥はねスカート
舌出すような
お茶目な素振り
乙女に系統
いや傾倒か
振り返れば
山積みの
花柄スカート
思い余って
破り裂く
観た事も聴いた事も
無い
映像と声
狂乱
塞いでも
塞いでも
毎晩毎晩
パーティーは
鳴りやまない
狂気を演じるのは
思いの外
簡単だった
百円ライター
ゆらゆら揺らいで
親指ばかりが
熱くなる
冷えきった部屋
これから燃やされる
千切れた可愛い布達は
私を笑う
明日から
裸
もしくは
ジャージで生きる
なんて覚悟も
出来やしないのに
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おなかがね
空くと
わたし
食べたくなるのよ
おにぎり
一個め
何粒あるかしら
数える前に
食べてしまう
わたしは
食いしん坊かしら
おにぎり
2個め
数える事など
忘れてしまう
だって
しょっぱいさけ
たくさん出てきたから
おにぎり
3個め
もういらない
もう飽きた
わたしは
食いしん坊ね
わたしは
食いしん坊ね
わたしは
食いしん坊ね
ごめんなさい
おこめの神様
お母様
青いお星を
よごしたのは
わたしだよ
ごめんなさい
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卵さん
バターさん
砂糖さん
生クリームさん
小麦粉さん
みんな
こん中集まって
みんなで
よいしょ
ぎっしりと
わたしは
ぶきっちょさんだから
あんまり
おいしく
あんまり
かわいく
できないけれど
こちこち
ぱさぱさ
あら失敗
けど
みんなで創った
共同作品
かちかち
へんてこ
まぁおかしい
けど
大好きな
母さん父さんに
焼いたのだもの
かちかち
こちこち
へんてこりん
あれれ
くすくす
笑いが止まらない
だって
母さん父さん
笑う顔
浮かぶのだもの
嬉しいのだもの
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豚を食べた箸を
スポンジで荒々しく
洗って
豚の鳴きまねしながら
音譜は分かりずらい
ぶつくさぶつくさ
文句を言って
豚の多い米国に憧れ
豚のイラストを
クールよね
なんて言いながら
豚みたいな奴だ
と
飛び交う言葉
耳を塞いで
真ん中を渡る
土の中にあるのは
ミミズくらい
トリュフも金も
出てきやしない
たっぷりと餌を貰い
養われた豚は
バラバラにされ
ばくばく喰われた
血まみれになって
肉を切り裂く方々に
塩は投げれ無い
かけられるべきは
ただ喰っている
消費者の私等だ
私なんかに
喰われた豚
人間と豚
せめて名前だけでも
交換してやれたらいい
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日が暮れて
母さんの
いない
私の部屋
橙色に
私を包むよ
電気ストーブ
あまり
おまえに
近寄り過ぎれば
セーターが焼け焦げて
穴が開いてしまうけど
おまえの熱が
無かったなら
手足と心は
凍えひび割れ
震えてしまうよ
おまえの橙色が
無かったなら
この部屋は
天井に取り付けられた
小さな灯だけ
なんて暗くて
なんて寂しい
私が小さな子供の頃
母さんが好んでよく着ていた
オレンジ色の洋服
火傷を負うほど
くれた
穴が開くほど
くれた
母さんの熱の時代に
吸い込まれていくように
今も昔も
うとうと
うとうと
する私
私のお腹に
そっとかけてくれた
橙色のカーディガン
布に染み付いた
セブンスターの匂いが
電気ストーブの
蜃気楼に
漂い
香ってくるみたい
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水が
ぷちょんと
垂れる音
台所の蛇口から
一回だけ
3分間の水時計
何故か
5分かけて
流れる
音も立てずに
とくとくと
繋らない水と水
きっとこれは
何かの知らせ
僕の心の中
ビリジアン色した池に
ぷわんと広がる
絶えない波紋
赤い液体では無くて
透明に澄んだ飲み水が
ゆっくりゆっくり
垂れ落ちていく
目を瞑って
そんな空想を
水達から貰った
東京の水は
飲めたもんじゃないけれど
洗い流すには
打って付けだ
水時計
かなしばりみたいに
歪んだまま
止まっても
紫の液体の入ったガラス
割れてしまうまで
彼の名は水時計だから
―東京の水は
ひねるだけじゃ
飲めたもんじゃない
僕を
洗い流す
ためだけの
水
贅沢だけど
たっぷりと
使わせてもらうよ
ビリジアン色の池を
透明になるまで
薄めておくれ
その途方に暮れる様な
一滴一滴に
絶望などしないから
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駄目な事
全部し終わったら
最後の最後で
辿り着く
枝別れ道
二つの道に
二つの看板
イエス?
ノー?
僕に浴びせる言葉はどっち
まぁええやんけ
昔の事は忘れろや
阿呆な奴等が
ほざきよる
言われた訳じゃ
無いんだけども
多分そう言うだろう
そんな気がして
とりあえず
イエスに続く言葉に
悲しい歌は
無さそうだ