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リコの部屋


[26] 遠ざけた後
詩人:リコ [投票][編集]

容赦無く
噛み付くはずだった
あの子が
まばたきする間もなく消え去って


失った全体を
取り戻す様に


手のひらで
空気を掴む


途方に暮れる時間だけは
贅沢にも
ふんだんに与えられていた



吐けるほど食べていける僕等は
心とは何か
そんなお話しを
してくれる大人がいなくて


艶のある
笑い仮面

毎日毎日
ずれる事無く
顔にはめて



輪の中の複数
笑い仮面と共に


不幸自慢
幸福自慢


選ぶはめに


“どちらにしても
自慢は気色悪い物だよ”



あの子の
リアリズムは
テレビの中だけ



インテリめいた
ロックバンドを眺める様で


さっき食べた
チキンを吐きだしてしまいそうだった



迷えるくらい
道のある僕等は


どれにしても
人間臭い
悲しい音楽
背中にしょって
それぞれの歩幅で
進んでいくんだろう





噛み付くはずだった
あの子の権威
ピンク色した不幸自慢

悲しい音色ばかり選ぶ
僕等の背中


その
痛かった痛かった
傷跡を
舐める舌が
僕には無かった

そして君にも




噛み付く術は
ムラサキ色した
幸福自慢



君を遠ざけるには
十分過ぎる振る舞いだった事だろう



ただれた手術の跡
隠すべく
花びらを散らせてみせた
ずれる事無く
はめられた
笑い仮面
不器用な喋り方は
滑稽だった




どうしてこんなにも
うまくいかないんだろう



涙はもう
乾きましたか


流血はもう
止まりましたか



ラジオの中から
君に聞けたらいいんだけど




2006/01/14 (Sat)

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