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リコの部屋


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詩人:リコ [投票][編集]

憎まれず
罵られもせず


感謝の飴玉ばかり
頂ける
“善”
が存在するならば




一番に教えて
このあたしに



嫌な鳥肌が全身に走ったの





本当の善は
いつだって
疎まれ
憎まれ
嘲笑の中でしか
実らない




温い愛撫では
氷は溶けない
自身の氷山が
そびえたつから
それ打ち砕く様に
他人にも
与えてきた



笑われながら
いつだって
疎まれながら



高熱の慈悲は
必ず疎まれる




前しか向けない善人様には
地べたではいつくばる虫達の声など
目にも耳にも入らない



こんな世界で
他人と共に
同苦に喘がない
善人がいるなら
連れて来て欲しい




誰かを心底想う度に
氷山はどんどん大きくなっていく



温い愛撫では
氷は溶けないの





綱渡りの要領で
即席の希望で
先人の物まねで
マニュアル本片手で
自ら手足を汚すこと無く
片手間に
出来ると言うの
彼等の暗闇の霧
祓う事
出来ると言うの




今絶望の淵で
過呼吸に悶える
あの子達を




寒々とした冬山に追いやる

見おろす貴方は
金色に光る仏様ね
苦を知らぬ偽善者達





メッキを剥して
張りぼて倒して




その足で
あの子達のいる
暗闇まで
行けたら
聞かせて





貴方の知る
善ってなにかを

2006/02/02 (Thu)

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