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リコの部屋


[33] うずまき町とジンジャーマン
詩人:リコ [投票][得票][編集]

静かに静かに
越えていった



小さな
小さな
女の子の横を




女の子、
擦り切れたカセットの前で
膝付いて
夢中になって
一体何を聞いてたのだろう



小さな
小さな
男の子の




愛してい






リピートして

途切れ途切れに
聞こえるけれど



女の子
その機械越しの悲痛
クッキーにして
食べていた




うそつき
うそつき




カセットに向かって
ぶつぶつ
ぶつぶつ
呟きながら
パクパク
パクパク


食べていた



僕は
うそじゃないよって
心の中で
呟いて



静かに静かに
女の子の横
越えていった




かなしみで
おなかはいっぱいに
ならないよ





にくしみで
おなかはいっぱいに
ならないよ





小さな
小さな
女の子



今では
愛でて花を
さすってる

そんな噂を聞いた



花は食べれないよって


振り返って
教えにいったら




ばかじゃないのって
笑われた





僕は
少し笑って
今度は
別れのウィンク
バイバイして




また
静かに静かに
歩き出した




ぐるぐる
ぐるぐる
円を描いて




また女の子に会う日まで




2006/02/13 (Mon)

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