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ワーズワークの部屋  〜 投稿順表示 〜


[1] 煙突の呼吸
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眼前に広がる工場の煙突から
ものすごい勢いで天にたなびく煙のこいのぼり…
公害をまきちらしているはずなのに
なぜか煙が誇らしげに
天に昇っていくように感じてしまう不思議…

あるときは
まるで白夜に浮かぶ廃墟の神殿
あるときは
取り壊された残骸の遊園地のよう

煙を吐かない煙突を見ていると
喧騒のない競技場のようでさびしい
生き生きと息を吸って
鼓動の音を響かせて…

命の息吹が感じられる煙突の煙に安堵する朝
躍動した工場が今日もまた眼前に…

2006/03/05 (Sun)

[2] 命の交響楽
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早世した詩人たち
ラディゲはあまりに早すぎた
決闘に破れしプーシキン
ランボーやバイロンやシェリー
中也や道造や賢治にしても
あまりに早く
はかなき春を駆け抜けし…

わたしは豊饒の夏を知った
秋の収穫の祭りを踊った
そしてやがて来るであろう厳しい冬に慄いている

いくばくかの寂寥感と多くのあこがれともに
短き生の詩人たちに思いを馳せる
彼らの栄光は草原の輝きの如く
色褪せない四季のまばゆさの中に在る

それは永遠に失せない言霊を響かせた生命の讃歌
生を祝福するシンフォニーなのである…

2006/03/08 (Wed)

[3] 言葉の宇宙
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ネットの中から雑踏のざわめきが聴こえ
思わず知らず踏み込んでいく毎日
それは幻聴? はたまた空耳?

世界とつながっているはずの小さな窓の中へ入り込み
ミッドナイトに遊ぶおもちゃ箱の住人たち

あるときはゲームの達人に出会い
あるときは情報の洪水にただ流されている

いつかこの世界のカオスの中で
子どもの頃に遊んだ秘密基地のように
ネットの中でも夢中でいたい…

それぞれの夢がここに集い 
大切にしている宝石箱がそっと開かれる…

映像と言葉の宇宙をさまよいながら
いつかまた宇宙(コスモス)通りで会いましょう

2006/03/07 (Tue)

[4] 記憶の自販機
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前世の記憶は闇の中
来世の記憶は藪の中

過去の記憶は霧の中
未来の記憶は靄の中

闇夜を照らす月明かり
前世の夢から揺り起こし

藪から棒にやってくる
来世へ続く他生の縁

霧が晴れたら蒼ざめる
過去の過ち恥ずかしさ

靄があるから救われる
未来に成算なきとても

ざわめきおびえる記憶たち
静まれ鎮まれ いまは待て

仮面の過去に別れを告げて
未熟な未来に思いをとばす

時の箱舟沈まぬ限り
記憶の海に漂い惑う

遥かな淡きスピカの瞬き
コインのいらない記憶の自販機

2006/03/09 (Thu)

[5] スキップする未来
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子どもの頃は 明日はスキップしながらやってきた
大人になると もう駆けっこできない自分に気づく

時間ほど不平等なものはこの世にない
時間を買うために人は我を忘れている
今を犠牲にしても未来を買いたいのか?
未来は魅力的で価値のあるものなのか?

子どもの頃の未来のイメージは 
まるでスキップするように弾んでいた
今日がパチッと弾けて 
気がつくと明日だった気がする…

大人になったら 目が覚めるのが怖くなった
今日のままでいられることを願いたくなった

「時間の砂はどんどん減っているよ」
かたわらでチャシャ猫が笑っている…

大人になって 幸福感は脳内現象の産物だと気づく 
いとしい人に会いなさい
おいしい物を食べなさい
かたわらでドードーがささやく…
早く!早く!滅びる前に…

君が会いたがっているのはだれ?
もしかして未来の恋人なのかな? 
でも 足早に去っていく時間を追いかけて未来にたどりついても
もうそこは現在でしかないんだ
未来だけにしか存在できない恋人をいくら追いかけても
永遠に会うことはできないはずさ…

スキップする未来といつになったら出会えるのだろう…

2006/05/27 (Sat)

[6] ハミングするレミング
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アトランティスを求めて旅立った一匹のレミング
彼の別名はタビネズミ 
旅また旅の放浪者

集団Suicideから逃れ 
風に抗ってひたすら前に進む
この風は太古の昔 
レムリアやムーの地上も吹き渡っていた

荒地の中でつかのまの休息をとり
またひたすら歩きだす一匹のレミング
その目は何を見 何を求めているのだろうか

それは春の宵の心象風景に似て 
大それた夢に酔っているだけなのだろうか 
厳冬の吹雪を乗り越えて
その手に夢を掴み取る日が来ることを信じて…

ひたむきさと狡猾さは生きるための本能
いつの日か伴侶を得て子孫を残し
あこがれのアトランティスへたどりつく日は
たぶん蜃気楼の果ての果て…

寝転んでまどろんで 
ハミングしながら幸せをかみ締めるときが
いつか来ることを信じながら
リズミカルな鼓動に合わせて歩き続けている

それは報酬や賞賛とは無縁の自己満足
けれど 旅路の果てに何があろうと
恐れずに向かっていく勇気だけは持っていたい

彼はいつもハミングしながら風に問いかけている
「自分の生き方はこれでいいのですか?」と…
風は何も答えずやさしくほほをなでるだけ
一緒にハミングしながら通りすぎる風が笑っている…

2011/07/07 (Thu)

[7] ウィンクするドラゴン
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6500万年前の六月の昼下がり
たしかに空にはやつがいた
遥かな高みから地上を見下ろし
大空の支配者に君臨していた
あの巨大隕石が襲いかかるまでは…

空に向かって飛び立とうとする意志を
やつはいつ持ったのか?
なぜ 空をめざそうとしたのか?

蝶の優美さにあこがれをもったためか?
タガメのように歩くことも泳ぐこともできる生き物が
空まで飛ぶことに嫉妬したからなのか?
もしかして翼竜は
昆虫コンプレックスのかたまりだったのか?
それともたんに
トビウオが空を飛んでいるように錯覚したからなのか?

この地上に抑留されしすべての生き物たちに
衝撃と羨望を与えし翼竜の出現
昆虫以外で初めて大空に羽ばたいたウィング・ドラゴン
それは鳥たちが生まれ出でる遥か昔の遠い出来事…

梅雨の晴れ間の六月のとある日
羽根を休めた鳥たちの
ため息が聞こえそうな白昼夢

翼竜は時空を超えて
突然目の前の上空に現れ
微かなウィンクさえしてみせたのだった
空で待ってるよと…


この背中に翼ありせば
倦むことなく朝焼け夕焼けの空を飛びまわりしものを…

翼ある者すなわち
大空に永遠の自由を描けし者なり
翼を獲得するために進化せし者は
何を捨てさり何を得たもうか

夢想の果てに浮かんだまぼろしは鳥人の姿…

6500万年後の六月の昼下がり
たしかに空にはやつがいる
翼竜ならぬ翼人が
「やったね」と微かなウィンクをしてみせた

2006/05/25 (Thu)

[8] スイングするシンコペーション
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水色に透き通ったスキャットが聴こえる
スキャンダルとは無縁だった
真面目すぎたアイドルの曲
フェイクの意味さえ知らない純真無垢な伸びやかな歌声


ダ・ヴィンチ・コードは新しいバー・コード?
デス・ノートはショウワノート製?
「TRICK」は「TRAP」の進化形?
白夜行と百鬼夜行はどっちが怖い?
あんなこんなの暗夜行路をくぐり抜け…

流星の見える高原に行こう
そこで透明な風に吹かれて月光浴してみよう
スイングするような鼓動のリズムが
命の流れを感じさせてくれる
アップ・ビートな呼吸に合わせ
流れるようなシンコペーションで
甦ってくる過去の記憶たち
バイオリズムの波間に揺られる小舟のように
スイングしながら生きてきた日々

不均等な時間の流れをつなぎあわせ
思い出というジグソー・パズルに挑んでみる
ばらばらのピースはセピア色に変色し
涙に濡れてうまくつかめない…

満面の笑みをふりまきながら
陽気にスイングしている僕に
まわりの視線はいつも冷ややかだった

僕の人生はまるでシンコペーションのよう…
わざとずらした生き方しかできなかったのだ

もうピエロなんかいやだ!
せめてクラウンになりたい…(懲りないのね?)

2006/05/29 (Mon)

[9] ストップしないステップ
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舞踏会の手帖を捨てて
踊らなくなった旅路の果てに…

いつかこの膨張宇宙はストップする日が来るのかな?
それは熱的エントロピーの終焉 
温度というものが存在しない
すべての宇宙空間が「絶対零度」の世界
それは「閉じた宇宙論」で予告された宇宙像

もしも「開いた宇宙」であるならば
この宇宙は何度でも膨張と収縮を繰り返す
「ビッグバン」は一度きりの特異点なんかではなく
無限に繰り返される現象となるのだ

この宇宙が開いた宇宙であるならば
この世界は何度目のビッグバンでできた宇宙だろう?
もしも来世があるのなら
次のビッグバンの宇宙に生まれ変わるのだろうか?

人の死は意識の消滅
生まれ変わりは次の宇宙での復活?
意識がふたたび目覚めるときには
果てしない時が流れているはず…
想像を絶する長い長い時空の隔たり…

でも もしも意識のつながりを感じられれば
たぶん 一瞬のように感じられることだろう
死がついこの前の出来事のように…

それは眠っていた意識が戻ったかのような
つまりは 夜眠って 朝起きるような感覚に近いはず
それでも 
人は前の宇宙のことをかすかに覚えているのかな?
もしかして それがデジャブー?

2006/06/06 (Tue)

[10] 空耳よりのお話
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これから話すのは耳よりのお話
目より鼻より 耳寄りの話だよ

ダンボが空を飛べたのはね
耳が大きかったから
でもね
象は鼻が長いから
ぶんぶん振り回していれば
ヘリコプターのように飛べるんだよ

ダンボはダンボールの中で拾われた猫 
いや 象だったから
「ダンボ」って名前がついたんだゾウ!

もうわかったかと思うけど
いままでのお話は
実は全部空耳で聞こえてきた話なんだ

だんぼでも いや なんぼでも聞こえる便利な空耳さ…

2006/05/29 (Mon)
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