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杞柳の部屋  〜 新着順表示 〜


[154] 別れの朝
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そろそろ
この名を捨てなければ

もう
君を引きずる訳にもいかんのです

電話口で
交差点で
二人きりの部屋で
呼ばれたこの名を
捨てるのです

あたしは漸く旅立ちます
けれど遠くは行きません
君の近くに居るけれど
君に会うことは叶いません

あたしは漸く旅立ちます
今更ながらお恥ずかしい
君がくれた決意です
後ろ髪はひかれません

そう
この名を捨てなければ

もう
君の知らない
あたしにならなければ



2006/12/12 (Tue)

[153] 此の空の下
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二月の燕は地を掠め
異常の程を知らしめる
絶えぬ愚行は繰り返し
緋色い牡丹を撒き散らす

動かぬ貴方を胸に抱き
私は石に口付ける
黒い迎えを焼き払い
遠く遠くに嘘を吐く



歪んだ儘の前脚で
鳩が横目で通り過ぎ
飲み込んだだけの事態から
静かに傷が滲みだす



還らぬ貴方を胸に抱き
私は此処に立ち尽くす
黒い迎えを押し潰し
遠く遠くに嘘を吐く



遠く
遠くに
嘘を
吐く



2006/12/12 (Tue)

[152] 揺るぎはなく。
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寂しいと
言う代わりに

好きと
言い続けた

これは
傷の舐め合い

死にかけた
あたしとあなたの
応急処置

あの日
気持ちを置き去りで
賢明な判断にしがみついた
当然の報い

あたしを妨害するのは
他でもないあたし自身

寂しいと
言う代わりに

好きと
言い続けるけど

決して嘘じゃない

あなたを愛してる



2006/12/12 (Tue)

[151] 君の背に羽を見た
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君の背に羽を見た

今にも翔べそうで
あんなに
愛しかったのに
抱き締めることが出来なかった

こんな街
裸のままの感性じゃ
生きていけそうになかった

これでいい
これじゃ駄目だ

幾度繰り返し
幾度繰り返すのだろう

君の瞳(メ)に居場所を見付けた

今にも泣きそうで
あんなに
寂しかったのに
簡単に「幸せ」と呟いてしまった

こんな街
着飾った感性でさえ
生きていけそうになかった

君の瞳(メ)に居場所を見付けたのに

君の背に羽を見た

今にも翔びそうで
あんなに
愛しかったのに
抱き締めることが出来なかった

引き止めることなんか
出来なかった



2006/08/03 (Thu)

[150] 月下美人
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きらきらと光る
星は今日も嘆く

藍色の夜空を
切り抜く様に
白く咲いた華

あなたは未だ
救われぬまま
其処で一人
誇ったまま
あなたは未だ
求めぬまま
此処で一人
見つめたまま



南の海を掠めた
風は優しく
身体を撫でた

あなたは未だ
報われぬまま
其処で一人
穢れぬまま
あなたは未だ
願ったまま
此処で一人
祈ったまま



きらきらと光る
星は今日も嘆く



2006/07/22 (Sat)

[149] 強い事は寂しい事
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大丈夫
慣れてる
また一つ
居場所を失っただけ

大丈夫
慣れてる
また一つ
自分を思い知っただけ

この街は
素敵な街
だけど
あたしにとっては
やっぱり
駄目な街だった

大丈夫
慣れてる
また一つ
寂しくなっただけ

大丈夫
慣れてる
また一人
失ってしまっただけ



2006/07/19 (Wed)

[148] 飛行少年
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空間は閉鎖的
恋は一方的
思考は流動的
周囲は何時も敵

たいして見上げもしない
空を唄う
無数の黒い腕が
僕を地に押しつける

嗚呼
きっとあっけないんだろうが

空を飛びたい



空間は閉鎖的
恋は一方的
思考は流動的
僕は何時も敵

前髪の隙から仰ぐ
遠い場所
温かく黒い腕は
僕を抱いているのか

嗚呼
きっと哀しくなるんだろうが

空を飛びたい



2006/07/17 (Mon)

[147] 大人振る。
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脱ぎ捨てられた
服を
拾い集めて

昨夜と寸分も違わずに
着こなせば
もうお仕舞い

何時もと寸分も違わない
日常を送り

以前と寸分も違わない
二人を装う

変わってしまったのは
弱くなった事だけさ

夜が寂しくて
たまらなくなっただけさ

身体が
心が
泣いている

昨夜より
何時もより
以前より

貴方が恋しくて
泣いている


2006/07/17 (Mon)

[146] 連鎖
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理由が無いと
理屈が無いと

不安で仕方が無いのは

揺らがない
足元が
欲しいから

倒れない
身体が
欲しいから

受け止める
君が
居ないから



強くなるしか
ないのだから



2006/04/01 (Sat)

[145] 適性値
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頑張れば
頑張るほど

失ってしまう気がするのは
何故だろうね



しがみつけば
しがみつくほど

離れる気がするのは
何故だろうね



そうさ
何事にも

哀しいくらいの
適切な距離を




2006/03/24 (Fri)
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