詩人:杞柳 | [投票][編集] |
砂の城を造った
波にさらって欲しくて
海のノイズは辛うじて愛せる
雨は掻き消され
鴎と心中を謀ってた
白とも黒ともつかない
砂に埋もれる
すぐに満潮だよ
白とも黒ともつかない泡沫が押し寄せる
早く壊して解放(ハナ)してね
同じリズムで呼吸する黒髪
無彩色の海辺は
桜貝だけが
嘘みたいに優しい色をしてた
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君への想いは
水溶性かもしれない
涙に溶けて何処かに去ってしまいそう
後生だからあたしを
泣かさないでね
未だ好きだと
想って居たい
未だ好きだと
想って痛い
詩人:杞柳 | [投票][編集] |
太陽が
海の果てに
逃げて逝くよ
きっと今日も
たくさん蔑まれたんだ
あたしがそう云って嘲笑って
貴方は窒息しそうなくらい
あたしを抱き締めていて
それでも如何して
此の海に身を投げる事ばかり
想像するんだろうね
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肉ジャガに
金平牛蒡に
南瓜の煮付け
最近
家庭料理を習い始めたのは
作り置きをする為
ビールが好きな
もう一人の“彼女”を
暇潰しに挑発
今夜より
貴方の家の冷蔵庫にて
熾烈な女の戦いが
ささやかに行なわれる予定
仕舞いには
貴方が刺されやしないかと
少し心配
詩人:杞柳 | [投票][編集] |
君は幸せなんかじゃない
もう善い子で居なくていいよ
異国を持ち出して
衣食住を噛み締めて
権利を見直して
競(クラ)べる事でしか判らない
論理で導く感情など幸せじゃない
もう思い込ませなくていいよ
君は幸せなんかじゃない
もう大声で泣いて求めていいよ
詩人:杞柳 | [投票][編集] |
あたしはエゴの塊だから
幾ら君の口癖を
伝染(ウツ)されようとも
あたしの口癖が
伝染るのだけは許せない
18年前
君のママは何一つ
間違えなかった
保証するよ
今
あたしが此処に居るのは
誰の所為だと思って居るの
「一人で生きていける」
そんな台詞
君無しで吐けるはずが無い
君無しで吐けるはずが無い
詩人:杞柳 | [投票][編集] |
高校時代の恋は
子供の我儘なのか
大人の見栄なのか
はたまた
青年の思春期なのか
能く判らない
でもあの日だけは
二人乗りが怖くて
君の優しさにしがみ付いた
あの橙色の坂道だけは
陽に晒しても
褪せる事無く
嘘を吐いても
汚れる事無く
光に覆われて
影を落とす事も無い
きっと君は
初めて愛せた人
詩人:杞柳 | [投票][編集] |
あたしを三十一(ミソヒト)に縮小するには
未だ芸が足りぬ
意気揚揚
首都を先導するは
十七の蜃気楼
風が赤みを差す季節
太陽やけに傾く午後
レントゲンに白い影
足掛け損ねた
三途のフェンス
あたしを三十一(ミソヒト)に拡大するには
未だ度胸が足りぬ
生キヨウヨウ
首都を旋回するは
十七の蜃気楼