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杞柳の部屋


[153] 此の空の下
詩人:杞柳 [投票][編集]


二月の燕は地を掠め
異常の程を知らしめる
絶えぬ愚行は繰り返し
緋色い牡丹を撒き散らす

動かぬ貴方を胸に抱き
私は石に口付ける
黒い迎えを焼き払い
遠く遠くに嘘を吐く



歪んだ儘の前脚で
鳩が横目で通り過ぎ
飲み込んだだけの事態から
静かに傷が滲みだす



還らぬ貴方を胸に抱き
私は此処に立ち尽くす
黒い迎えを押し潰し
遠く遠くに嘘を吐く



遠く
遠くに
嘘を
吐く



2006/12/12 (Tue)

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