詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
青いルリビタキが
電池切れの飢餓の果てに
蚊細い声で鳴き続ける
自分の生さえ
まともに扱えないから
まるで唯一の
勝ち星みたいに
たった3万の1の
ありきたりの最期を
自ら選ぶ
大した傷も残せないまま
無かった事にするなんて
意味がないから
傷つきながら
傷つける事を
決して止めない
だって薬どころか
毒にもなれないなんて
無視出来ないワーム
以下の存在だから
青い鳥だって
食べてはくれないもん
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
左右交互に
繰り出すだけで
いくらでも前に進める
理屈の王様は
裸婦には遠く及ばない
メカニズムに
深入りし過ぎて
アルコホールで
洗浄した配線が
短絡的にショートして
あるはずの目的地は
遠く霞んで
トイレばかり近くなる
消化すべき物を
受け付けない臓器で
何を排泄すれば
わたしはキレイに
なれるのだろう
Fコードさえ
セーハできなかった彼は
私よりずっと上手に
世間を制覇する
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
自販機も人も苦手で
冬でもかいてる手汗
いつも
緊張してるから
自販機の缶ジュース
とり忘れたり
コンビニのレジに
買った物を
置いたまま外に出たり
他人との
当たり前のやり取りの中
返却された想いたちが
未処理のまま
わたしの中で
膨らんでゆく
たとえば
この5円玉1枚と
1円玉3枚は
何の余りだろう
親切にしたりされたり
責めたり許してみたり
お釣りみたいに
日々に貯まってく感情が
頭の中で使いきれない程
重たく沈んで
記憶がぱんぱん
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
しばらく
出会ったことが
なかったので
こんな姿だったかと
半信半疑
カブト被らないメス?
もっと確かめたくて
近づいたら
カサコソ
見覚えのある素早い動き
離れると
ジッと壁に張りついて
微動だにしない
こちらの出方を
窺っている様子だから
間合いを計ってるうちに
チャンネルが
合ってしまったみたい
もしかして
あなたなの?
答えるはずもない
明日
ホイホイ買ってくるから
捕まったりしないで
ちゃんと逃げてね
さようなら
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
レトルトの
「我思う、ゆえに
我あり」というのは
我思うと我思う、
ゆえに我ありと我思う
の方がより正しい
...と思う
だなんて
誰への言い訳だろう
自分の思いではなく
他人の思いを語る道具に
成り下がった覚えはない
寄せ集めに紛れても
私と同じ結晶は
ふたつぶとない
...である
と断言しても
自信があるわけじゃない
開き直るつもりはないが
絶対がないのは
前提だから
...と思う
だなんて気弱な述語
生きてるうちは
わたしが使うことはない
と思う
あれっ?
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
3連符で苛立って
ナショナリズム刻んで
社会変えると豪語して
変われぬ自分落伍して
Hey say!
平たく成らない時代さ
未熟さが売り物と
裏声で歌う
ぬばたまの夜
3連休に戸惑って
バイオリズム乱れて
毎日が自由なHoliday
逃げ道探してRunーway
Hey say!
平たく成らない時代さ
卑屈さを盾にして
言葉で突き刺す
たらちねの母
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
ヒューマニズムは
時に残酷で
一人の命を救うために
それ以上の命を奪う事に
無頓着で鈍感だ
虐待され
物言わぬ子供の
五臓六腑が
いずれ闇市の
ショーウインドウに
並ぶだろう
パシフィズムは
いつも暢気な
お喋り好きで
自分の平和が
他人の暴力で
守られている事に
あまり興味がない
加害され
自由を奪われた彼らは
やがて一番右側の
ドアを蹴り飛ばして
一斉に同じ方向へ
走り出すのだろう
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
オイラ転校生
みんなが
知らない場所に
前からいた
ブタと蔑まれて
毛嫌いされても
弱いと嘲笑うけど
長い階段上がる度
足腰段々強くなる
オイラ新型
発育盛り
行く先々で
宿借りて
友達は世界に広がる
ゴホン!と咳をすれば
エヘン!と胸をはる
みんな
手とか繋いで
仲良くなれば
体中が熱くなる
マスクなんか外して
顔が見えないでしょ?
オイラ転校生
だけど前から傍にいた
「はじめまして
どうぞよろしく」
詩人:矢井 結緒 | [投票][編集] |
京の都の上七軒
白粉落として
ズラ外し
黒い皮ジャン
鼻ピアス
膝まで垂らした
レスポール
Maiko豹変七変化
天神様も目を醒ます
大音響の
ロッケンロール
七回転んで八拍子
砂を払って
ツラあげて
明日があるじゃん
おいでやす
腰に垂らした
ロングチェーン
Maiko変身七不思議
旦那衆も振り返る
エイトビートで
六軒ロール
穴あきジーンズが
アナーキー
京の都のパンクガール
加茂の河原に風が吹く