詩人:山鳩 | [投票][編集] |
暖かな木洩れ日の中で
心もとなくかすんだ水平線を見つめてる
何も聞こえない
小鳥の囀りさえ聞こえない
何もかもが立ち去り
孤独の世界に迷い込んだように
こころは遠い過去に置き去りにされて
静かな静かなこの丘の上で
また君のまぼろしを見る
君とのお喋り
それは空耳
こころに刻んだ
言葉の数々が
復習するように思い浮かぶ
こんなに無垢な午後のかたちに
どこかすがすがしい気分に堕ちてゆく
無音のままに
北に流れてゆく飛行機雲
君はもうこの地にいない
詩人:山鳩 | [投票][編集] |
時は知らぬ間に
流れてゆく
おやすみ
長いくちづけの後の余韻
濡れたくちびるの感触
おやすみ
夜更けの深い眠りのなかで
また出会う
君のほほえみ
おやすみ
冷たい君の指先を握りしめ
僕は忘れない
My Sugar Babe
愛は次第に熟れてゆく
詩人:山鳩 | [投票][編集] |
あたたかな愛が見つけられなくなったら
ためらいが目障りになってしまって
やさしいふりをしてしまう
あの頃のこと思い出して
そっと手を伸ばして
閉ざされたこころに触れてみたい
少女のようなほほえみを
もう一度
流した涙をこの指先で拭ってみたい
もう一度
愛をうちあけた若き日々に
君がくれたつよい翼で戻りたい
こころ淋しいこの秋に
また君に捧げる詩を書き始める
詩人:山鳩 | [投票][編集] |
君が存在していることで
僕は生きてゆく
たとえ
会うことができなくても
君がこの地で生きていることで
僕もまた生きてゆく
たとえ言葉を交わすことができなくても
九月の雨が僕を生かしている
乾いた地面にしみこんでゆく雨粒
雑草の声が僕を生かしている
雨に濡れた葉っぱの揺らめきとともに
季節がめぐり行くとも
秘めた真実はもうどうでもいい
それはとおく過ぎ去ったしまったこと
儚い想い出にしてしまえばいいだけのこと
ただあのときの涙
その瞬間瞬間の君の想いは
深くこころに刻んで
僕は生きてゆく
詩人:山鳩 | [投票][編集] |
たぶん君はここに来ない
もう来ない
風がやんでも
風がシャツの袖口をすり抜けていっても
想い出を秋の空にうかべながら
流れる雲を見上げながら
あの歌を口ずさむ
「まるで 秋をむかえた少女のように
とおい空を見つめてるひとよ・・」
季節はこんなに動いているのに
閉ざされたメッセージは
もう受け取ることはできない
夏が過ぎて
秋になったら
この街を後にして
遠く旅立つ
そのほほえみや優しさを忘れるために
たぶん君はここに来ない
もう来ない
詩人:山鳩 | [投票][編集] |
あの日
君が僕の言葉を求めなかったら
僕が君の瞳の奥にある
哀しみに気付かなかったら
今もこうして
僕の眼前で愉快に笑い声を上げていたのに
ずっと友達のままだったら
こんな苦しみは生まれることは無かったのに
君は僕のこころの奥に
消えることの無い後悔を残していった
十月の乾いた風に吹かれて
もう涙も消えてゆく
こんな心地いい季節嫌いな季節
君の精一杯の綱渡り
潔い決心に
僕はひとりの女をみる
詩人:山鳩 | [投票][編集] |
繋がれて寝そべっている黒い犬を見る
お前と私は似ているのかもしれないな
束の間の幸せに短い人生をかけて
ご主人様に褒められることをいつも望んでるんだ
詩人:山鳩 | [投票][編集] |
季節が移ろうように
人のこころも
こんなに移ろうものなのか
もうこころの一部となってしまって
絶対に変化しないと思っていたのに
いつの間にか
あの想いが哀しいくらいに
薄らいでゆく
その程度の気持ちだったんだ!
その言葉が僕の脳裏を横切る
それはもう六年も前のこと
厳しい夏が過ぎ
快い秋ゆく季節に抱かれて
あの瞬間がまたよみがえる
僕はもう一度帰りたい
あの頃の自分に帰りたい
君はそこにいるのに
詩人:山鳩 | [投票][編集] |
秋になって
暑い夏が過ぎて
涼しい乾いた風が吹いて
ようやく幸福が
色づき始めました
まだまだ熟れるまで
時間がかかります
幸福よ
早く赤くなれ
赤くなって色づいて
ポチッともぎ取って
かごに詰めて
僕は君に持ってゆく
世界で一番おいしい幸福を