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山鳩の部屋


[74] それが君の優しさなんだ
詩人:山鳩 [投票][編集]

鳥は空の嘘を知らないので

嬉しそうに空を飛んでるそうだ

でも空があるから鳥は空を飛べるんだ

僕もそう思った

だから

僕も君の嘘を知らない

知らないから君の空を飛んでいる

君は哀しみの涙を雲の上に置き去りにして

僕はそのはるか下を飛んでいる

悩みと苛立ちの海は

嘘という水平線にさえぎられて

さざ波の音さえ聞こえてこない

口をつぐみ黙っていることで

コトバを推敲し

あの大空の片隅に飾ることで

僕は君のしあわせのなかで生きられる

それが君の

僕への最大の優しさなんだ

      

※谷川俊太郎詩集『愛について』を読んで

2007/11/08 (Thu)

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