詩人:綾 | [投票][編集] |
あたりまえという幸せを
ひとつひとつ覗いてみたら
何でもないようなことなのに
明かりが灯るやさしさで
ささやかに問いかけてくる
ここまで生きてきた暮らしに
ゆらりきらり転がるビー玉
大人になったら見えるんだ
そんなことに気付いて
思うときがくる
そんなときは幸せなとき?
少しだけさみしいとき?
晴れの日も雨の日も
ここに帰ってくるよ
いつもそこにあなたがいた
いつもそこにわたしがいた
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いつものことが
積みかさなって
あたりまえになったもの
ひとつのきっかけで
ひとつひとつのいつもが
失われてしまった雪の降る日
暗闇の中で見つけたものは
驚くばかりの満天の星空だった
好きな物を食べて
好きな音楽を聞いて
好きな本を読める幸せ
待っている家族がいて
友達とおしゃべりして
好きな人に触れる幸せ
あたりまえになっていた幸せ
ひとつひとつの今日を
積み木のように重ねたら
明日を見ることが
できるでしょうか
私の好きな春を待ちわびる
あなたにも届きますように
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夕焼け色に染まる
歩き慣れた道も伸びた君の髪も
言葉にできるのは
思ったことの半分くらい
思ったことを言葉にしても
届いているのは半分くらい
だから好きだって言えばいい
もったいぶらずに言えばいい
日が暮れてしまう前に
知らない誰かに恋をする前に
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ポストに手紙を落とした
もう戻れないとこまできた
いつだって私だったのに
もう私を思い出せないんだ
遠くへ届けばいい
君の中にまで届けばいい
冬の青空に白い吐息
マフラーをぐるりと巻いて
音にうもれて
ときどき泣いた
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もし欲しいものすべてが
思うまま手に入るとしたら
もし失うことを知らなかったら
気付いていなかっただろうか
手のなかにある幸せを
抱きしめられる幸せに
優しい人だと私に言う
あなたのほうが優しいことに
こぼれ落ちる涙をぬぐう
あなたの指でひとりが救われた
誰かを愛するとき
世界はどんな色に変わるだろう
それは温かくて薔薇色より
柔らかい色かもしれない
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思い出が
こもれびに揺れている
温かい光の中で
笑うあなたがいた
私はどんなまなざしで
あなたを見つめていたの
それはあなたしか
知らないこと
あなたが私を忘れても
私はあなたを忘れない
いつかそのことを
悲しいと感じるときが
おとずれるとしてもだ
あなたがいて
私がいた日々は
誰にも持ち去ることが
できない宝物だから
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同じ空の下にいても
すれ違うことはないけれど
空模様も帰り道も違うけれど
茜の余韻に立ち止まり
思い浮かべたことは君のこと
制服の少女は
夕焼け空を写していったよ
私も届けたいと思ったけれど
暮れていく時間を切り取って
今日は胸にしまっておくの
君の声と私の声が
繋いでいるものは
形にはできない心
悲しくて泣いてるときも
他愛ない話で笑うときも
君の声が私を抱きしめる
君は1日の終わりに
私を呼んでくれる
もうすぐやってくる夜は
同じ色をしているから
私は夕焼けの端を
そっと見送ることができる
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涙は虹色になって
空を泳いでいった
見送る君の背中に
私も手をふった
若葉の上をすべって
生まれる風も旅に出た
一面の青がきらめく
夏はすぐそこまで
少し違う私になるだけだ