夕立は去り雨も上がる図書室にも陽が射して頬杖をつきページを捲る何度も読んだ恋愛小説放課後を彩る音色が音楽室から流れ聞こえる彼が奏でるクラリネット私は甘い夢を想像した本を閉じた後にはきっと私の物語が待っていると傘は鞄にしまって帰り道を散歩しよう夕方の奏は思春期の私たちを橙色でくすぐる私の好きな人がだんだん遠くなっていくゆっくりと音は明日に溶け込んでいく
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