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望月 ゆきの部屋


[172] タンポポ綿毛
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

風が吹く中
残った一つは ひどく必死だ

仲間たちはみな
とうの昔に 風に乗って
遠くに行ってしまった
いや もしかすると
意外に近くにいるのかもしれない

しかし 残った一つは
必死にしがみついて 離れまいとする

飛んでいくこと
飛ばされていくこと 
きみにとっては 宿命であり
そんなことは 百も承知なのだ

だが
その白い繊維の隙間に
ちらちらと 見え隠れしている
きみの恐れや不安を
誰も 気がついてはくれない

きみの行き先が ぼくにわかるならば
そしてそこが すばらしい場所ならば
ぼくは だまっちゃいないのに


さて
そろそろ覚悟を決めた頃だろうか


次の風に乗ってごらん
その手を離して

手を離さなければ
きみの一歩は始まらない
次の風には 乗ってごらん
ぼくが合図をおくるから

今の姿は 
決して最期ではなく
そこから きみは生まれ変れるのだよ


きみは 生まれ変れるのだから

2004/04/22 (Thu)

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