詩人:望月 ゆき | [投票][編集] |
コブタ1号は
花壇のパンジーの水遣りを命じられ
コブタ2号とコブタ3号は
駅前のスーパーで
じゃがいも3つとバターを1箱
買ってきて と頼まれ出かけていった
コブタ4号は
そこでおとなしく遊んでて と
自立を申し付けられている
コブタかあさんは
よっこらしょ と
丸椅子に腰をおろし
ワイドショーに目をやっては
ふむふむ とビスケットをかじる
あれれ
ぼくは どうしたらいいの
なんにも頼まれないのって
一番辛いものだよ
こんなの つまんない
そんなこんなの
毎日が過ぎたある日
すぽんっ と
勢いのいい音とともに
ぼくの視界は突然光に満ち溢れた
なにが 起こったんだろう
「あなたを待ってたのよ」
次の瞬間
コブタかあさんが
幸せそうに ぼくを抱きしめた
なんだ
そういうことか。