詩人:望月 ゆき | [投票][編集] |
入り口は すぐに見つかった
もう何年も
ここでこうしています、と
あぐらをかいた白髭の老人から
地図を手渡される
地図はすべて
記号化されており
懐中電灯はなにも語らない
そういえば
さっきも見かけた黒猫が
今も足下を通り過ぎた
暗闇とは
決して恐れるだけのものではない
ましてや
伸ばした指の先が
何に触れているかなどは
出来れば知りたくないものだ
もはや 袋小路であるが
少なからず愉快な感もある
得てして 人は
困難な状況においてなお
それを客観視できる能力を
たいがい持ち合わせている
入り口は すぐに見つかった
出口だって きっと
あれば、の話だが。
とりあえず
手を伸ばそう
歩いてみるべきだよ。