詩人:望月 ゆき | [投票][得票][編集] |
陸橋の上では
なにもかも、音色だ
誰かの哀しみも
誰かの嘆きも
低く、
低く、
艶やか、に
奏でて
奏でて
陸橋の下に
五線譜、のレール
行き交う列車たちはアレグロ
速く、
速く、
艶やか、に
打ち消して
打ち消して
見えないどこか、の
アダージョ
天高く、青、そして 青。
町の向こうから、ホイッスル
かなたから、ピストル
ピストル、
スタートか
または最期、の
金色の肌
映すのは、空の秋
を横切ってゆく、列、列、列、
渡り鳥の、ドレミファソ
高く、
高く、
艶やか、に
溶け込んで
溶け込んで
鰯雲のすきまに
バリトン、の
解き放て、音、そして 音。