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望月 ゆきの部屋


[323] 一円玉のささやき
詩人:望月 ゆき [投票][編集]

高層ビルのすきま
通勤ラッシュの駅のホーム
それに似た、二酸化炭素の中

たりない、
たりない、と
うわごとのきみたちを
いつだって満たしてあげたいと
信号を送っているのだけれど
ぼくは ただ
呼吸をつづけ
二酸化炭素をはきだしているに
すぎない

ぼくが、生きていないって?
そんなこと
誰かが噂している
だけども
なにもかも失くして
神様、
体温、
声、
そういうものみんな
信じられなくなったときなんかは
さいふの中をのぞいてみると
いい

たりない、
たりない、のうわごとのきみたち
満たすはずのすべては
曖昧で
時間、
酸素、
愛、
そういうものみんな
目に見えないってだけで揺らぐなら
たった
1グラムに
支えられるおもいだって、
あるんだ


2005/02/15 (Tue)

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