詩人:望月 ゆき | [投票][編集] |
折り目が
1センチほどやぶれた地図
を
玄関先でひろったのは
あさっての出来事
です
20世紀横丁までの
道順を
黄色いマーカーで
くっきり、記してあります
歩くべき道は
空
とのことでした
時計と反対の方角へ
この世に
空、と呼べるものがあるとしたなら
の話です
わたしの知り得る、空
あるいは
道というものは
わたしがこの世に生まれし
あの夏の一日だけのもの
でしたので
眼前にひろがる空
あるいは、道を
歩いていこうとは
とうてい思いませんでした
20世紀にたどりついたとしても
そこにある景色は
さほど
ここと変わらない、と
わたしも
みなも
ほんとうは知っています
ミレニアム、
ミレニアム、
叫んだのは世界でした
あしたを求めて生きる、
世界でした
それに気づいただれか
が
空に放った
地図
だったのでしょう