詩人:在音 | [投票][編集] |
新月の夜 夢を見た
この世界の住人は 死ぬと
天国に行くことはなく
星や大気 塵にもなれずに
一匹の醜い虫に変化する
その虫は
地中深くに落とされ
人間として生きた という
大罪を背負って
地上のまだ見知らぬ人の踵の下で
苦痛の声をあげる
そして
僕も虫になり
泣きながら 削れて行く指を使って
土を掘り進む
空へ向かって 恐怖に震えながら...
それから少ししたある日
僕は
睡眠をとるというコト は
人間が犯す 1つの罪で
それは毒であり 現実逃避であり
存在を放棄するコト なのだと考える
だからその日から7日間の間
僕が眠ってしまった時間は
1時間だった
8日目の朝 僕は
睡眠をとらないというコト が
罪だと感じて
できることなら このまま
心臓が止まってくれればいいと
7日間眠り続けようとした
でも 結局は
5時間程目を覚ましてしまい
そうまでして生きようとする自分に
後悔と罪悪感で いっぱいになった
昨日 沢山の人が
空から落ちてきて
この街が 石榴で埋もれる夢を見た
石榴が地上に落ちる音は
しおれた木蓮の花びらが
雨と風にあおられて
アスファルトに叩きつけられた音に
とてもよく似ていた
そして 夢の中で僕は
心地よい風が
頬を撫でた時のように
その光景を見ながら 微笑んでいた