ホーム > 詩人の部屋 > 在音の部屋 > 嘘

在音の部屋


[3] 
詩人:在音 [投票][編集]

僕は今日も白い天井を見つめている
この部屋の窓には鉄格子
10cm以上開くことはない
空や鳥が見たくても
決してここからは出ることが出来ない

冷たいタイルに広い浴槽
泳いだり 潜ったりするけれど
ガラス窓の外には
何時も見張りがついている

自由な所なんて嘘っぱち
ここには何もないんだ
何も出来ないんだよ

1日3回 薬の時間
注射で皮膚は硬くなり
血を抜き取られていても
抵抗する力すら残されていない

鍵付きの夜に 凍えるベッド
本当に僕は夢を見ているのだろうか

淡々と流れていく時間
安全と言う 隔離された時間
何故みんな笑っているの...
何故みんな笑っているの...

知らない人から見ればきっと夢の世界
でも 来てはいけない異端な世界
本当に僕は安らげるのだろうか
明日は今日よりはマシだろうか...

誰かが歌を歌いながら彷徨っている
誰かが知らずにまたここにやって来た

廊下にかけられたカレンダーには
日毎にバツ印が刻まれていく
多くの人達は 
今日が何曜日か なんて考えてもいないのに

ゆっくり羽を休めればいい
ゆっくり傷を塞ぐといい
ここには誰も貴方を傷つける人はいない
ここには誰も僕を傷つける人はいない

でも 本当に
僕は安らげるのだろうか...

2004/12/16 (Thu)

前頁] [在音の部屋] [次頁

- 詩人の部屋 -