詩人:在音 | [投票][編集] |
心が壊れて 崩れ落ちる瞬間を
人は何かが壊れた音がするという
けれど 本当に壊れた時には
何の音も聞こえず
誰の言葉も聞こえなかった
僕は鉄格子のある部屋の中
何人かの看護師に抱えられて
ベッドに運ばれると
酸素マスクと点滴と安定剤をうたれて
手足を縛られた
時間がたつにつれて
聞こえて来た 看護師の言葉は
無表情のまま ラクニシテアゲルヨ と...
僕は 言葉にならない声をあげ
目を見開いたまま 涙を流していた
そして
幾度も交差する 白い服をぼんやり見ていた
不安も恐怖も何もなく 縛り付けられた僕は
冷たくなってゆく身体を
温めることもできずに
感情をなくした