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在音の部屋


[4] 壊音
詩人:在音 [投票][編集]

心が壊れて 崩れ落ちる瞬間を
人は何かが壊れた音がするという

けれど 本当に壊れた時には
何の音も聞こえず
誰の言葉も聞こえなかった

僕は鉄格子のある部屋の中
何人かの看護師に抱えられて
ベッドに運ばれると
酸素マスクと点滴と安定剤をうたれて
手足を縛られた

時間がたつにつれて
聞こえて来た 看護師の言葉は
無表情のまま ラクニシテアゲルヨ と...

僕は 言葉にならない声をあげ
目を見開いたまま 涙を流していた
そして
幾度も交差する 白い服をぼんやり見ていた

不安も恐怖も何もなく 縛り付けられた僕は
冷たくなってゆく身体を
温めることもできずに
感情をなくした

2004/12/16 (Thu)

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