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在音の部屋


[9] 忘却の時
詩人:在音 [投票][編集]

19の夏 肩まであった髪を切り
スキンヘッドになった

今まで着ていた服を捨て
黒い服ばかり着て サイドゴアのブーツをはき
目の色をグレーに変えた

片方に7つのピアスを開けて
黒 闇 虹 と言われる人達の住む
街へと足を運んだ

学校の先生は 初めて僕の頭を見たとき
愕然として 紅い口紅を
固まらせていたのを 今も覚えている

きっと心が病んでしまったのだ と
周りの人は そう言ったけれど
新しく迎えてくれた 街の住人達は
微笑みながら 僕の頭を撫でてくれた
強くなれ....と

まだスキンヘッドが流行っていなかった頃
黒一色になっていた僕は
通り過ぎる人々が振り返って見ていても
何故か 真っ直ぐに歩く事ができた

知らない 写真家に
被写体になってくれ と言われて
雑踏の中 1枚写真を撮った

それがどうなったのかは 知らないけれど
僕の時間が1枚 切り取られていった

2004/12/16 (Thu)

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