詩人:都森 善太 | [投票][編集] |
あの星の光は
僕達が
二つの足で立ち上がり
手をつなぐ ずっと前に
生まれて
声が聞きたくなって
受話器を上げる 少し前に
ここに届いた
返事を待つ時差ぶんだけ
世界を追い越す
電波信号
真っ直ぐにしか進めない
あの星の光は似ている
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勘違いをしていた
明日には世界が終っても
自分には関係ないって顔して
そのスタンス好きだったよ
価値のないものばかり集めて
綺麗に並べておいておく
その立ち位置が羨ましかったよ
欲しがるな
そうすれば傍観できる
いいわけない言い訳
真似しようとして疲れた
言葉だけでも人は殺せる
辞書を片手に対象の欠陥を探す
利腕以外いつでも血まみれ
勘違いをしていた
愛したその言葉達は
自分意外認めたくないだけ
まったく
時間の無駄だったな
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独裁者を死刑台へ
世界は拍手をおしまない
兵士は一人を殺し
大統領は万人を殺し
宗教はいくつかの国を殺し
あなたの優しさは
一人をやっと救えた
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「メロンパンの中に
メロンが入っていたら
いいのに」
つぶやいた
あいつの
前世の罪は
いつまでたっても
消えないらしく
小さな願いほどに
叶わない
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タバコの端を噛む癖を
嫌がるので
泣く泣くその癖
治しておきました
無理して笑っている時
こっそり泣く癖
いつの間にか
残していました
雨は好きで嫌い
理由は語らないくせに
また時ばかり経つ予感
理由を求めないくせに
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機械みたいなヘッドフォン
ベランダの向こうは明け始める
今日を知り尽くして
明日は同じ夢をみよう
命がけなのさ
言われれば確かに
語っても終わらず
価値はいつもなくならない
(本当は恐くて)
(夜の長さが気持ち悪くて)
分かったふりが
ようやく出来るようになる
覚めるまでが夢というなら
いつまでもみている
これは夢
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遠くなった分だけ
見えなくなる
遠くなったから
見えた物もあって
そういえば最近は
あの鳥の姿を見かけない
見下ろす景色のどこか
出会ったと聞いた
追いかける軌跡は透明な
渡り風と季節の匂い
いつだってそれは特別
舌の先を転がって
まだ溶けないでいて
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記憶の精度
曖昧でマイナーな
不可視の方向へばかり
シンキング
溶け合っていく
一マス前の私と私
電線、伝線、伝染
鉄塔をたどっていけば
存在さえ疑わしい
あの大都会へ行けるって
信じてた
悲しいかな
思い出すのは
故郷の田園風景と
夕暮れのランプ
鉄塔のある風景と
一マス前の私と私
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遠くから
呼ぶ声
さよならは嫌い
振り向かず
手で合図
昨日より今日は明日へ
ただ前へ
無くさないように
いっぱい抱えたまま
深呼吸
全部が大事な
欲張りで不器用な泣き虫
二人分
赤色や黄色や青色
伝えてくれ
呼ぶ声に
耳をすませて
あなたの一番近くへ
呼ぶ声を
目指していると