詩人:都森 善太 | [投票][編集] |
チューニング
巻き戻して いく
鮮明な ノイズ
溜め息 ノイローゼ
耳を塞いで いるのが
あたりまえに なりそうで
長く伸びるしっぽを
つかまえて おく
手を思いきり 伸ばして
電波を キャッチ
生まれた瞬間へ ぐるぐる
時間の概念は 左巻き
静かに 静かに
スピーカーが
歌う鼻唄
音程もずれて
リズムは滅茶苦茶で
呼吸みたいに気持ちいい
ただ願うだけじゃ
叶わないラジヲ
録音式の流星ラジヲ
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寒空を真下に
ふたつの瞳は
私を通り過ぎて
どこか遠くへ
きっと
声を届ける場所を
失ってしまった
無人駅まで
ひとり道
めぐすりさして
泣いたふり
いざという時
泣き虫は泣けなくて
また新しい
回数券が必要になる
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すれ違う路上、感情と
冷えきったコンクリート
どこかで聞いた
誰かの声に似ていたよ
頼りない一人
呼びかけもせずに
振り返って欲しいなんて
卑怯なのは自分
多分、笑っていた
痛みを知った
失速する上り道
満ち足りてる、でも
忘れ続けていく
どこかで覚えた
誰かの姿に似ていたよ
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何故なら
そこいらに溢れかえってる
悲劇やら終末は
全てニセモノかもしれない
カリスマシンガーの
詠う愛はやっぱり
あなたのモノにはならない
あぁ絶望する
現実はドラマチックじゃない
ドラマじゃないから
悲しくて泣いたり
寂しくて眠れなくて
それなりに幸せを探せて
偶然や奇跡が全てで
一瞬、一瞬
退屈は忙し過ぎる
それでもまだ絶望するなんて
贅沢、ですね
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よう、やく思い出したよ
あの瞳の、中
帰り道、焦げ、付いた
まっかっか、な太陽
底の、方に沈んだから
ヒゲはビリ、ビリ痛むんだ
空、の青色を溶かして
チャイムの、音、は空腹感
黒く、滲んでいく宙から
僕、達はやってきた
しっぽをぶら、下げてさ
やんやん、鳴いて、さ
闇に消える
線路上の野良猫
さよなら
レールにそって
故郷へ帰るのだ
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なみだのかず、だけ
つよく、なれるなんて
よくいったもので
ほんとのとこ
つくりわらいが
うまく、なっただけ
ないてる、ことに
きづかなくなってて
ないてるの?
そう、いわれて
またないてた
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限りなく夜に近い青でした
それは
抱き締めたくなる
そんな
弱さを閉じ込めた
限りなく青に近い夜でした
きっとそれを
××なんかに例えたりして
語るのは簡単ですが
きっとそれは
××なんかより
簡単なものじゃないでしょう
紫の煙が
ただ揺れただけ
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どの自分が一番きらい?
正直になれないところ
きっと君は皆が言うほどに
強くはないし
弱くもないんだろう
問いかけへの答えはそうだ
全てを無くして
君だけがそこに残るなら
僕は君になれるはず
希望的観測
どの自分が一番きらい?
消してしまいたいくらいに
君が大好きだ
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どんな言葉なら
届くんだろう
あの人なら何て言うか
考えて止めた
精一杯の深呼吸に
少しだけ疲れて
一番初めに思い浮かぶ
見付けた想いは
灰色の季節に
間に合うだろうか
交した言葉の数だけ
ただ、精度を高めて
残した言葉の数だけ
ただ、精度を高めて
間に合え
伝われ
繋がれ
そうすることしか知らない
ただ、精度を高めて
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指折り数えてみたけれど
いつだったのか
辿っていけば
違う季節の空が見えた
同じような情景
解りやすい後悔
冷たい空気の海を漂う
最後の言葉を
ポケットの銀色に包んで
全部、全部
どこかに忘れようと思う
白い溜め息の後で
思いきり想いを吸い込んで
一番大切な
今の、あなたの為だけに