詩人:都森 善太 | [投票][編集] |
誰かが誰かを想う力
重力を振りきり星を飛び出す
誰かが誰かを想う距離
孤独な無人探索機を追い越す
誰かが誰かを待つ時間
新しい生命と誕生起源に出会う
宇宙は今日もゆらぎ
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孤独も知らずに
時に孤独になる私たち
互いにたった一人
感情
幻だとは思いたくない
包み込むために
この両手では足りないから
その右手を貸してくれないか
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忘れられていくのは死ぬより怖い
忘れていくのは死ぬより怖い
行動原理
あいさつの代わりに
詩で伝えて何かを残したかった
言葉以上の何かを
それは
夕陽に映る電柱のシルエット
新しい紙の匂いと捲る指先
風に混ざる季節の匂い
お気に入りのスニーカーの感触
手紙を待つ緊張感
初めて出会った一日が終わる瞬間
二人だけで雪の上に残した足跡
別れに涙した時
すべてが大切すぎて
また欲張りになる
いつも一番に分からなくなるのは
自分だったり
当たり前だけど
詩を書く自分
詩そのものに
そいつが嫌いだった
ほんの一瞬前ですら
それはもう過ぎ去った過去で
過去としての自分は
読み返した所で
ただただ虚しい
そうだろうか
連続していくコマの中で
立ち止まる事なんて出来はしない
動きを止める事は許されていない
それくらいならば
ひねくれた
後ろ向き歩きでも
ただ前に進むだけ
ただ前に進んだだけ
それを語る時間は与えられるんだ
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あなたが誰かを想う時
僕はあくびをして
詩の一行目にとりかかる
あなたがあくびをしてる時
僕は映画のワンシーンを
思い出して涙する
世界が眠りにつく一秒前
二人でくしゃみをする
地球の裏側でも
全てが奇跡
みたいなものなんだ
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なぜだろう
駅のホームで
手を繋いだ老夫婦
すれ違い、道を譲り
泣きそうになった
なぜだろう
ショーケースに
張り付いて必死に指輪を探す
少年を追い越して
泣きそうになった
多分、答えは分かってる
つまらない答えばかり
取り残されて
「昨日、UFOを見た」
久しぶりにきたメールは
タイミングがずれてて
少しおかしい
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計算機なんか使えない
不安定でいつも不安な
私たちを許して
不機嫌な顔のまま
写真に写る
あなたを許して
名前も知らない
そんな人を愛している
僕を許して
言葉遊びに
願いを込めて
想いを伝えようとする
すべてを笑い跳ばして
正直になれない
弱さを許して
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燈は右側へ消えて
蛍光灯は代わりにならない
呼ぶ声は波の滴
涙は渇いた
向かいのシートに座る
一人の少女
大事そうに抱えているのは
そんなもので
たった一つの願いだったりして
粉々にした記憶を
小さな瓶に詰めて
海に還す
踏みしめられた
白い砂浜の秘密
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もの言わぬ者は
何も語らず
問いかけても
騒ぎたてても
もの言わぬ者に
何を求めるっていうんだ
見てごらん
キノコ雲の真下には
子供達が遊ぶ公園が
いつか埋め立てられて
ドラッグストアーになる
安売戦争なんて
アナウンサーが興奮して
まくしたてている
標本にされて
博物館の名物になる
人殺しのジオラマ
あくまで人殺し
殺人じゃないから
平和
間抜けな平和
それを誇りと呼ぶのなら
誰も語らない
語るものもない
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(それは星も見えない)
(星が明るすぎたからでした)
何も持たない方がいいよ
と君が言う
不安な夜には
夢を捨てておく
向こう側で君に会った
伝えると
不機嫌になるのを
覚えていたから
誰にも見せない笑顔を
そこではいつも
笑いあっていて
その光はすべて
すぅすぅ流れていくのを
ただ眺めるばかりで
つかまえようとはしない
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夜には眠り
朝には目を覚ます
そんなありきたりに
ふと、反抗してみたかった
だけなのです
決してそれを
寝坊なんて呼んでは
いけないのです
たまに走り出す休日
そうして止まった時間は
始まっていくのです