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[191423] 10年
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

天気予報じゃ
午前中までどしゃ降りの雨の筈だった

「向こう側の交差点からここの前を通りが出来上がりますし
小学校迄なら歩いて10分程です…。」

不動産屋の話しを聞かされた
中古マンションの四階の窓辺から見えるのは
数台のパワーショベルが
町並みの所々を虫食のように住宅の取り壊しをすすめている様子だった
すぐにでも道路ができあがりそうな物言いだったのに
もうあれから随分たっていた

朝日の中
雨上がりの水溜まりから
犬が水を舐めているのだが
よく見ると首輪に鎖をひきずっていて
その端にまた首輪があって
ボロボロの犬の頭らしきものが繋がれ
時折、臭いを嗅ぐようにしながら亡骸を舐めたりしていた

亜熱帯地方特有の気候の気紛れさに
気象台は予報なんて宿題に
鉛筆の先が折れるような心持ちで
キーボードのキーを打ち込んでいるのかもしれない

乾き始めた
コンクリートの瓦礫へ向け
あたりに粉塵が振り撒かれないように絶えずホースで水をまく作業員

ズルズルと犬の首を引き摺りながら
あの犬はどこへ行ってしまったのだろう

なにも分からぬまま














10y

2016/04/17 20:22



[191422] 椰子の実
詩人:どるとる [投票][編集]


覚めた夢のあとにもまだ消えない
あなたの面影が 寄り添っているよ

時間から 外れた場所で生きる
あなたの 笑顔を思いながら

色彩の雨は モノクロを塗りつぶしてく
それは波にさらわれた貝殻の模様

どしゃ降りが 窓をはげしくたたく
さよならもどこか優しく頬を流れる

海を渡る 椰子の実ひとつ 宛もなくさまよう

白い砂浜 大きなパラソル 空と海の青。

2016/04/17 14:01



[191421] 波浪警報
詩人:どるとる [投票][編集]


波にさらわれてゆく
ひと欠片の命が たどる足跡を 雨が消してく

さよならも 輝いて
手を振る影が 遠くなって
明日にはまた 側にいる大切な人。

2016/04/17 13:49



[191420] 七色レコード
詩人:どるとる [投票][編集]


街中に音符の雨が 降っている
ドシラソファミレド 人の足音も 話し声も
それは素敵なメロディ

涙が 地面に落ちるまでの間に
僕はそっと君の 涙を手のひらで
こぼさず掬い上げたいのに

物語に そっと雨が降り注いで
レコードの針 落とすように 音が溢れる

悲しいよって 言っているように聞こえたの
少し遅れて差し出す手が 傘を握らせるけど
君は敢えなく涙に濡れてしまう。

2016/04/17 12:59



[191419] 蜘蛛
詩人:どるとる [投票][編集]


糸を紡いでゆく きれいな螺旋になる

六角形の家を 糸だけでつくる

その八本の便利な手足で

虫じゃないよ 六本足の虫じゃないよ

蜘蛛は てらてらの

夜明けに輝く巣の真ん中で

そのたくさんの瞳で何を見てる。

2016/04/17 12:39

[191418] 光の絨毯
詩人:どるとる [投票][編集]


黄金色の風が 闇をさらって
始まる朝の ページを一枚めくった

夜明けの街 いつも通りの時間に日は昇り
いつも通りに 僕は目覚ましに起こされた

テーブルに並んだ珈琲とマフィン
軽く平らげて お腹を膨らませたら

まばゆく輝く光の絨毯を広げよう。

2016/04/17 12:16



[191417] 落書きノート
詩人:清彦 [投票][編集]

心…どうする?

湿気 部屋 ひとりきり

空白 ノートは無駄

思考はぐるぐる

手足はいつも動かない


年金の問題にしても

いつだって、そう、甘やかして

ほったらかしておけば

腐敗 怠慢 妥協 裏切り

人と何かを強く結ぶには

信念が要るってのに

システム テクノロジー

組織、社会、団結力

出来上がった枠の中

飼い殺し、いや、甘えだ

おかげでそれなりの毎日


本来はもっと弱肉強食だった

獲物を狩って喰っていた

いつしか言葉と文字が発明され

知識の継承を積み上げて

安泰の上に文明が建ち

おかげで一見、平和な今日さ



誰が僕の事を見ている?

善も悪も枝分かれしてしまって

小さなコミュニティのはしっこで

今日も誰かが歌ってる


僕は誰を見ていればいい?

完全なる不完全を目の前に

横たわる堕落した部屋の角

今日も意味もない落書きが増える


全てはいつもホラ

空虚だよと仏が嘲笑ってるね


もて余した自由を使いきれない

小さなこの僕に

間違いのない本当の何かを

誰か僕に見せて下さい



2016/04/17 11:42



[191415] サクラ
詩人:カィ [投票][編集]

捕まえようとすると
逃げるくせに

要らないっていうと
ずっとそこにいて

それならそれでいいやって
もう顔も見たくないって
放り投げた

ごめんね

僕が弱かったばっかりに

上手く笑えなかった

桜吹雪の中
歩く君が

キレイすぎて

目が離せなかったのは本当だよ

捕まえようとしたら
すり抜けてゆく桜の花びら
君と重なって

上手く笑えなかった

春が来たね
君の好きだった春

サクラ

今年も満開だって。

2016/04/16 21:33



[191414] 父の拳
詩人:どるとる [投票][編集]


同じ屋根の下で 同じ釜の飯を食べて

同じ時間を過ごし同じようなことで悩んで迷って

でもすれ違うよ もしかしたら他人よりも
憎んでしまうかもしれない
裏切ってしまうかもしれない

でも 肝心なときはいつでも
ひとつになって どうしたら
うまくいくのか 真剣に考える

手をつないだら離さないよ
生まれたときから僕らは
どうしようもなく家族だ

泣いて笑ってたまには怒って
喧嘩してもまた何度でも
仲直りして明日にはけろっとしてる

巡りあったことは偶然なのかな
それとも運命なのだろうか
そんなことを考えながら
血でひとくくりにつながった輪の中にいるよ

夕暮れに沈んだ 街は項垂れて
元気なく 影を落としている

素直になれず傷つけた 昨日を反芻する

言い過ぎたかなあなんてあとで思い病むのが
いつも 変えようと思っても変わらないことだ

一緒に洗濯しないでという娘
会話もない息子 愛想のない妻
理想と現実の差

小さかった頃はあんなに
かわいかったはずの子供たちが
いつの間にか大人になって
生意気な口を利くたびに

すぐに手を出すようになって
叩いた 拳を見つめながら
泣きながら どうしてこうなってしまったのか

殴られたほうももちろん痛い
でも殴ったほうも痛いんだぞって
お決まりの台詞言いながら 素っ気なくごめんって 言ったよ

言葉を探していた 頭の中に 散らかったたくさんのそれらしい台詞を

これでもないあれでもないって 模索しながら 諦めそうになりながらも

父である自分を 思い出して 伝わらずとも 言葉を 語り聞かせてく心を込めて

その拳には 厳しさと優しさが 握られている。

2016/04/16 21:22



[191413] 大丈夫
詩人:どるとる [投票][編集]


悲しいときは必ず誰かがそばにいてくれるほど
みんな暇じゃないしそれを求められもしない

円周率から 体にあるほくろの数まで 覚えてるのに

記憶をさらってみても 満足に人を愛した試しはない

大丈夫、大丈夫って言い聞かせた
あの 夜は どこまでも朝を遠ざけたの。

2016/04/16 19:50
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