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[196587] 未完成人
詩人:高級スプーンあと何年 [投票][編集]

手を伸ばしても
根底までは届かない
流されていても
進んではいる
生きている間に
辿り着けない未来と同じく
生きてきた足跡も
始めの方は見えなくなった
後戻りも出来ないし
軌道修正しようが
思い描いた場所には
届きそうにないほど
道を外れてここにいる
すべて諦めてしまおうか
それがいい
それが幸せ
言い聞かせても
言うことを聞かない
手のかかる子どもがいる
お前はいつまで
ガキなんだ
大人になれよと
諭そうとする
俺は大人か
終わりが来る前に
区切りをつける
そうやって
いつも未完成のまま
夜な夜な世に出す
それがこれ

2020/04/16 03:54



[196586] 
詩人:サエ [投票][編集]

小さな頃
手土産で貰った
ちょっと小ぶりできれいな洋菓子の缶詰に
ボタンを集めた
そのうち
帰り道のきれいな石や
くじで当てたイミテーションの指輪
小さなビーズの詰まった髪ゴム…
いろんな物が加わって
小さな缶詰には収まらなくなった

小さな私は選別を始めた
ときめくものだけ残して
それ以外は
丈夫そうな紙の箱に詰めた
入れ物を大きなものにしようとは
その頃は思わなかった

選別したものすらも捨てられず
別でしまっておくところに
既に優柔不断な私が確立していたように思う
もしかすると私は中身よりも
そのきれいな缶詰が気に入っていたのかな

ときめく感情はあまり好かない
期待してもいい結果ばかりではないから
むしろそっちが殆どだ
だから諦めている振りをする
はじめから欲しくないと偽って
傷つかない為に膜をはる
認めてほしくて
褒めてほしくて
期待されたら出来ないことさえやろうとする
失敗すると解ってて
誰かにとっての「普通」じゃないことが
私には一番怖いんだ
いつしか自分の感情も
見分けがつかなくなる

ものの善し悪しもわからない
子どもならよかった
こんな自分を実感するとき
やり直したいと思ってしまうとき
必ず涙がそばにいる

2020/04/16 03:21



[196585] 崑崙で見たあの朝を憶えていますか
詩人:梅宮 蛍 [投票][編集]

赤い龍の背に陽が昇る
鱗に弾かれ遍くを照らす頃
君は細く呼吸を始める

紺を纏った静寂から 黄金の朝へ 光を見出す

折々の草花が時を揃えて目覚め
木々は風に笑う

龍は西の空を悠々と渡り
後には一条の白い帯

ここは頂
遥か眼下には万の眠り
それもやがて 赤光に照らされ起きるだろう

赤い龍の笑う頃には きっと 僕の病も癒えるだろう

2020/04/16 01:31



[196584] 
詩人:チューリップの花束 [投票][編集]

運命の赤い糸はふたりで紡いでゆくものだと
あなたは言いました
つまり、どちらかが脱落したら成立しない
信じることで人は強くなれるのだと
大嵐の中であなたは笑っていた

何度も何度も
わたしはあなたが2013年秋に衝動的に口走った言葉を反芻する
結局また騙されてゆくだけ?
あなたの意志についてわたしにはどうしようもない
あなたの行くべき道はあなたが決めるのだ

おそらくあなたは信じているのでしょう
でも、わたしは疑っている
気持ちは何となくでも理解する
しかし現実をあなたは希求しないでしょう
つまり、わたしの役割はよくて一生これだけ
それでもいいと
あなたが特別で素晴らしい人だからそれでいいと
認めるべきなのか?
体より心の中が重要だと
現実を敢えて求めずに行けばいいのか
誰にも相談できずに
自分の中でその苦悩を全部抱えて、、、

どんな糸やねん

2020/04/15 00:04



[196583] あれから
詩人:チューリップの花束 [投票][編集]

規制が強く
書き込めない状況でした
でも、わたしのことは心配しないでください
何とか生きていますので

生きているだけで幸せな昨今なので
本当は贅沢いえないのでしょう
何がいつ起こるかわからないので
遺書ではないですけれど
あなたに伝えたいことは伝えられるうちに書いておこうと思います

本当はなんとお声かけをしていいのかわかりませんけれど
でも、あなたが元気で幸せで何より
いろいろ大変なのだと笑みがこぼれるのを見て少しは安心します
わたしの方はなかなか笑顔にはなれませんけれど
しかし、ここまで生きてきてわたしもこれでよかった
わが人生に満足してます
あなたが元気で幸せそうなので
これでよかったです
有難う
ふたりの不思議な出逢いに感謝です

2020/04/14 23:54

[196581] 不安と夜
詩人:猫のあし [投票][編集]

どうしてこんなに戻らない時間は切ないんだろう

どうして一瞬一瞬が尊いのだろう

出会いは何気なく訪れるのに

別れはきっと理由がいつもあって

失っていくものが

こぼれていくようで

とてつもなく悲しくなるようで

でもきっと

また何かが待っているようで

眠れるまで

懐かしい歌でも聴こう

2020/04/13 01:11



[196580] 春のまんなか。
詩人:理恵 [投票][編集]



青い蝶々がひらり、ひら。
木の根元を行ったり来たり。
甘い甘い蜜があるのか、
それとも違う何かがあるのか。


私にはわからない。
だけど蝶々は知っている。


離れてもまた、くっついて。
くっついてもまた、離れていって。
まるで秘密のお話してるみたいに。


おっと、蜂とぶつかりかけた!
びっくりした蜂は怪訝そうに
目を背けて通りすぎていく。


それでも蝶々は行ったり来たり。
まだまだ根元の周りをひらり、ひら。


きみのそれを知りたくて
ふっと上を見てみたら
木の葉が風にそよいで
緑の小さな実がぽつり、ぽつ。


この実が赤く熟れたなら
どんな匂いがするんだろ。
どんな花が咲くんだろ。
その花が散ったとき
どんなふうにこの道を彩るだろう。


きっと青い蝶々は知っているから
離れられないんだろう。


まだまだ、木の根元をひらり、ひら。


ねえ、僕にも
きみのそれを教えてよ。






2019.11.25

2020/04/12 23:51



[196579] 四月の便り
詩人:理恵 [投票][編集]



桜の花びらがはらりと落ちた
ぷかり、ぷかりと浮かぶのは
狭い川の水面(みなも)の上


こうやって漂って
どのくらいが過ぎただろうか
もう何万もの花弁がひだまりの中
海へ向かっていったというのに
それはまだ、ここに留まったまま


針が壊れたコンパスは
もうとうに捨て去った
新しいコンパスを手に入れても
使い方を忘れてて


ぴゅー、ぴゅーっと音がする
枝から摘まれた花びらを
娘が笛がわりに口元にあて
小さな子どもが人指し指をさし
駆け寄っていく


楽しそうなその声に
もう一度コンパスを眺めてみた


鼓膜の奥で
青い細波の音がする
それはきっと
儚い虚構に過ぎないけれど


不器用に ちぐはぐに
音の鳴る方へ進み出し
一日、二日、三日と重ね


あれから六十四日が経って
それから八十四日を越えて


気がつけば
羅針盤はいつでもここにある
針が見えない夜に
月がキラリと光るなら
それに導かれてみようか


なんて
思えたんだ


だから
わたしの想うあなたも
流れるままに そのままに
思うままに道をゆけ
もう何も
背負うことはないから





2019.11.25

2020/04/12 23:47



[196577] 
詩人:遥 カズナ [投票][編集]

古井戸に石を落とす

耳を澄ます

何にも
聴こえない

何にも
思わない

エンドロール
ボクシング
ボイジャー

テーブルに落ちた水滴を指先で横に引っ張る

トレコロール
ガーゼ
キューブリック

空に落とされた
凧揚げの紐が指先に食い込む

タイフーン
アプリコット
ミレニアム

後悔ばかりたから振り返る気もしない

何にも無い

2020/04/12 16:59



[196576] あなたに会えた日
詩人:アサスケ [投票][編集]

あたたかい場所から
たった一人
暗い道を抜けて
こわい思いをしながら
あなたは会いにきてくれたんだね

今は少し戸惑うかもしれないけど
これからはここが
あたたかい場所になるよう
守っていくよ
私を選んでくれたあなたのために

2020/04/12 10:50
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