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[196580] 春のまんなか。

詩人:理恵



青い蝶々がひらり、ひら。
木の根元を行ったり来たり。
甘い甘い蜜があるのか、
それとも違う何かがあるのか。


私にはわからない。
だけど蝶々は知っている。


離れてもまた、くっついて。
くっついてもまた、離れていって。
まるで秘密のお話してるみたいに。


おっと、蜂とぶつかりかけた!
びっくりした蜂は怪訝そうに
目を背けて通りすぎていく。


それでも蝶々は行ったり来たり。
まだまだ根元の周りをひらり、ひら。


きみのそれを知りたくて
ふっと上を見てみたら
木の葉が風にそよいで
緑の小さな実がぽつり、ぽつ。


この実が赤く熟れたなら
どんな匂いがするんだろ。
どんな花が咲くんだろ。
その花が散ったとき
どんなふうにこの道を彩るだろう。


きっと青い蝶々は知っているから
離れられないんだろう。


まだまだ、木の根元をひらり、ひら。


ねえ、僕にも
きみのそれを教えてよ。






2019.11.25

2020/04/12 (Sun)
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